走り出したな

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気がつくと

森の中にいる。

 

少し

薄暗い。

 

白い大きな花が

いくつか咲いている。

 

その場所に

私は静かに

座っている。

 

物音はなく

とても静か。

 

私は、自分の

心の音

のみを聴いている。

 

その音は

言葉にはならないが、

 

言葉以上の

メッセージを

確かに私に伝えている。

 

もうすぐ

夜が明ける

とわかる。

 

問題は、

そこからだ。

 

夜明けと共に

すぐに

動くか?

 

それとも

もうしばらく、

 

少なくとも

今日一日は

 

静かにここに

いるか?

 

その答えが

もうすぐ出る

気配がある。

 

私は一切の

思考をやめ、

 

ただ

心の音のみに

意識を向ける。

 

意識が完全に

空になる。

 

「自分」という

認識がなくなる。

 

「世界」と「自分」の

区別が

なくなる。

 

・・・と、

 

ふと気がつくと、

 

私はもう

走り始めていた。

 

夜明け前

だと言うのに。

 

すでに

全力ダッシュ

だった。

 

なんだ、

そういうことかよ。

 

と、

私は半ば呆れ

ながらも

自分自身にちょっと

文句を言う。

 

でももう

走り出している。

 

もう

止まることはない。

 

しかも

もう、止まるという

選択肢がない

という事実を

目の当たりにして

 

私は心の底から

喜んでいる。

 

内側から

エネルギーが

溢れてくる。

 

すでに

先程までいた

森は

 

後ろの彼方に

見えなくなった。

 

もう

今は

前しか向かない。

 

決めるまでも

なかったな。

 

やはり最初から

決まっていたな。

 

なら

最初からそう言え、

 

私は自分にちょっと

文句を言った。

 

つづく

 

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