ことりと動いた

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風が吹き、

一枚の葉が

ことりと動く。

 

ほんの些細な

その変化に

 

しかしそれでも

空気は

ざわめく。

 

分子レベルでしか

認知されない

そのわずかな

ざわめきも、

 

確かに一つの

波動を起こし、

それは周りに

伝播する。

 

たとえたった

一個の分子が

動いたに過ぎなかった

としても、

 

たった一個の

分子の

その動きが、

 

核心をつく

ことがある。

 

あの風が、

 

あの一枚の

小さな葉の動きが、

 

この大きな波を

起こしたのだ、

いくら説明しても、

 

それはなかなか

信じてもらえない

だろう。

 

しかし

この世の多くの

出来事は、

 

些細から始まる

のだ。

 

その「真実」に

目を向けるとき、

 

愕然とする

ことがある。

 

「些細」と

「核心」の

調和・不調和。

 

これによって

この世は

満ちている。

 

なんと

不確かなもの達の

集合体か。

この世界は。

 

偶然でしか

成り立たないかの

ような世界。

 

そのあやふやさの

中に

私達は存在

している。

 

その恐怖。

 

これを誰もが

持っている。

無意識下に。

 

私はこの

恐怖の眼差しで

すべてを

見つめている。

 

何も信じることが

できないという

眼差しで

見つめている。

 

そこまで

堕ちて初めて、

 

「必然」とは

どういうことか?

 

その意味が

わかったのだ。

 

「流れ」はなぜ

起こるのか?

 

その綿密な仕組みを

理解できたのだ。

 

そして、

 

理解すればするほど、

さらに

わからないものが

浮上する、

この世界の奥深さと

 

そこに至る

羨望と。

 

そういったものが

ないまぜになって

私達はここに

存在している。

 

いったいどれだけの

風が

今、世界の内で

起きているのか?

 

そのうちの

どれだけが

核心を突いているのか?

 

その視野に

立ったらもう、

何もできない。

 

そうではない場所に

私達は立つしか

ない。

 

その場所に

たどり着くしかない。

 

そんな出会いが

日々、起きている

というのは、

 

これも一つの

必然だろうか。

 

つづく

 

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