狼狽

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じっと見つめる

先に、

 

小さな

私がいる。

 

私に背を向けて

何か

必死に

もがいている。

 

セコセコ

と。

 

何をそんなに

焦って

セコセコと

やってるんだろうな、

思いながらも、

 

私は

何もしない。

何も

言わない。

 

汗が

見える。

 

焦りの汗。

 

小っぽけな

存在になると、

こんなにも

見えなくなるものか、

 

こんなにも

わからなくなる

ものか、

むしろ、驚く。

 

今は焦る必要

などなく、

すべては

順調なのに。

この上なく。

 

その順調さを

彼は、

あの小さな私は

知らないのか。

 

どこかで

本当は

知っているはずだが、

 

知らない自分に

焦点を当てて

いるのか。

 

焦る必要は

ないのに。

 

焦りながら

キョロキョロする

小さな私。

 

キョロキョロ

しても

もちろんそこに

答えはない。

 

答えは

自分自身が

決めればいい。

 

決めた

その答えこそが

答えなのに、

 

なぜか

決める前に

キョロキョロする。

 

そこにそんなに

時間をかける

必要はないのに。

 

あんまりそこで

止まっていると

後で大変に

なるぞ、と。

 

そんなメッセージ

のようなものを

私は目線でもって

彼に、

あの小さな私に

送る。

 

すると

ビクッと一瞬

体を震わせた後、

 

ちょっと

落ち着いて、

 

我に返ったように

鎮まった。

 

そして

静かに一歩を

出した。

 

小さな私の

小さな一歩。

 

やれやれ。

 

でもその一歩の

蓄積こそが

大事なんだ。

 

本当は

わかっている

くせに。

 

存在が

小さくなると

意志も小さく

なるものなのか?

 

やれやれ。

 

自分は

何者か?

 

何を為すために

そこにいるのか?

 

どうして

わざわざその

小ささとなったのか?

 

すべて

知っているだろ。

 

小さくなると

忘れてしまうのか?

 

それほど

そこは

不安定な場所なのか?

 

私が君と

小っぽけな自分と

交代すれば、

私も同じように

なってしまうのか?

 

やれやれ。

 

でも今はまだ

代われない。

 

もうちょっと

彼には

頑張ってもらわねば。

 

つづく

 

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