この道の目的は何か

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「目的」

には、二つの種類が

あると思うんだ。

 

登山に喩えて

みようか。

 

まず一つ目は、

 

あの山の頂上に

立とう、

 

というような

「目的」があるよね。

 

つまり、

ゴールを設定する

ような目的。

 

これを

「到達目的」

とでも呼ぼうか。

 

もう一種類の

「目的」は、

 

その頂上までの

過程で、

何を大切にしながら

進むか、

 

という目的。

 

例えば、

頂上まで行く道のり

では、

道端に咲く

お花を楽しむことを

目的にしよう、

 

とか、

 

周りの眺望を

楽しみながら

進もう、

 

とか。

 

これを

「過程目的」

と呼ぼう。

 

私はすべての物事

には、この

「到達目的」

「過程目的」

二つがあると

思っている。

 

これに気づくきっかけ

となったのは、

26年前の一つの

出来事だ。

 

・・・・・・

 

当時、私は

海外に放浪の旅に

出よう、

と決めていた。

 

そのために、

半年間で500万円の

資金を貯めよう

と決め、

ある完全歩合の営業会社に

入社した。

 

訪問販売の

会社だ。

 

そこに、

「訪問販売の神様」

と言われる人がいて、

運の良いことに

私はその人と一緒に

仕事ができることになった。

 

その人から学ぶことは

とても多く、

私は、他の人の倍以上

働き、

半年で1000万円を

貯めることができた。

 

その時の私の

到達目的は、

「旅の資金を貯める」

だ。

 

それは

達成したことになる。

 

ところが。

 

上司と私の功績が

認められて、

私達を中心とした

新たな支店を

立ち上げることが

決定した。

 

私達は

未開の地で

事務所を立ち上げ、

そこで

さらに販路を広げる

ことになった。

 

私は

一介の営業マンから

管理職になることに

決まった。

 

これはまずい。

 

このままでは

会社を辞めづらく

なる。

 

せっかく資金が

貯まったのに、

旅に出られなくなる。

 

そう思った私は、

その営業の神様である

上司に、

そこで初めて、

旅のことと、

会社を辞めたいことを

告白した。

 

すると、想定外の

猛烈な

反対にあった。

 

しかし私は

とても頑固で、

自分で決めた目的は

何が何でも達成する

と決めており、

何が何でも

辞めよう、

 

なんなら、今日にでも

辞めてやろう

 

くらいに

思った。

 

その上司の

私への説得は

一晩中、

朝まで続いた。

 

しかし私は

頑として聞かなかった。

 

逆に、何があっても

私の方が上司を説得し切ろう、

くらいに思っていた。

 

が。

 

上司の次の言葉が

私の胸に

突き刺さった。

 

その言葉により

私の心は完全に

揺らいだのだ。

 

「君の目的は

よくわかった。

それを達成したいという

気持ちもわかった。

だがな、

そのプロセスで君は

一体、何を得たいのだ?

達成したい目的だけを

達成できれば

それで君は良いのか?

それで君の人生は

本当に良いのか?

今のままの君では

間違いなく孤独になるぞ。

私はもっと君に

豊かな人生を

歩んでもらいたいんだ」

 

この言葉を

聴いた瞬間に、

私の中に

 

『仲間』

 

という言葉が

浮かんだ。

 

あぁそうか、

私は、私の人生を歩むに

当たり、

仲間を増やしながら

進むことを

望んでいるのだ、と

その時初めて

自覚した。

 

つまり私には、

「仲間を増やす」

という

過程目的があったのだ。

 

それがわかった

瞬間に私は上司に

頭を下げた。

 

「私が間違って

いました」

と。

 

「もう少し、あなたの元で

修行させてください」

と。

 

なんとその瞬間、

その上司は

まるで子どものように

声をあげて

泣き出した。

 

それを見て、

私も

声をあげて泣いた。

 

そして

痛感したのだ。

 

あぁ、あのまま

自分のゴールだけを

目指していたら、

この大切な人を

私は失っていた、と。

 

大切な人を

失い続ける人生に

入っていた、と。

 

人生には、

ゴールも大事だが

プロセスも大事

なのだ、と。

 

そして私はその後、

さらに半年間、その上司と

共に仕事をした。

 

新たな支店を

立ち上げ、

人を採用し、

15人体制まで

組織を育て、

 

チームとしても

売上の新記録を

達成し、

さらにもう1000万

貯めることができた。

 

そして何よりも

新たな仲間が

そこでできた。

 

私の幸せ度合いは

明らかに上がり、

そして

ゴールも達成できた。

 

最後は

上司からもみんなからも

盛大に

送り出してもらえた。

 

旅に出るのは

半年遅くなったが、

その半年で

私はかけがえのないものを

得ることができた。

 

恐らくその時の

半年間の体験が、

今の私の

原点になっている。

 

・・・・・・

 

「目的」には

二つの種類がある。

 

到達目的

過程目的

だ。

 

二つ共を

大切にすることで

私達の道のりは

豊かになる。

 

私達の真本音は

それを

望んでいる。

 

つづく

 

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