我々はまだ何も・・・

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私は、A社長と

バーのカウンターで

飲んでいた。

 

A社長は、

会社を創業されて

10年目。

 

創業当時から

A社長の傍で、

私も共に

歩んできた。

 

私が提唱する

「自律調和型組織」

とか

「自律調和型社会」

という言葉を

考えてくださった

人だ。

 

A社長の会社は

素敵な会社だ。

 

20数名の小さな

会社だが、

社会的には

とても意義の深い

「三方よし」の

お仕事をされており、

特にこれからの時代には

なくてはならない存在と

なっていくだろう。

 

何よりも、

後継者が育った。

 

A社長の意志を

受け継ぐ経営層が

少なくとも

二人は育った。

 

私は、

この規模の会社で

これだけ立派な

後継者が育ち、

 

A社長のような

エネルギーの高い

創業者が

まだ現役社長として

存在しているにも

関わらず、

 

A社長から

「もう、彼らには

完全に任せて

いられる」

と信頼される、

それだけの状態になれた会社を

他に見たことがない。

 

今日は、

その後継者二人が

中心になって、

仕事納めの全体会議や

忘年会が行われ、

 

A社長と私は

静かに、

彼らの成長ぶりと

組織の成長ぶりを

味わった。

 

そして、

二次会まですべてが

終わり、

その後、二人で

バーで飲んでいる。

 

ここ数年は、

いつもこうやって

二人で一年を

しんみりと振り返る。

 

ふと。

 

A社長が

呟いた。

 

たけうちさん、

我々はさぁ・・・、

 

まだ何も

成してないよな。

 

まだ

なんにも

やれてないよな・・・。

 

目の前の

ウィスキーの

茶色の輝きが

その言葉と共に、

しんみりと私の胸に

沁み渡った。

 

まだ

何も

成してないよな。

 

もう一度私は

心の中で

反芻した。

 

すると、

心と体の中の

すべてが、

シンと

静かになった。

 

そうだな。

 

私はまだ

何も成してないし、

 

まだ

何もやってない。

 

ただその

「事実」だけが、

あるがままに

そのままに

「ここ」に

屹立し、

 

その「事実」を

ただただ

私達は静かに

見つめていた。

 

なぜだろう。

 

私はとても

心が満たされた。

 

なぜだろう。

 

とても

嬉しくなってきた。

 

静かに

何かが

悦んでいる。

 

すべては、

ここからだな。

 

すべては

こっからだな。

 

と、

心の内で

さらに呟きながら、

私は、

 

何も成せていない

自分を

 

味わった。

 

そう。

 

ちょっと時間を

置いて、

今はよくわかる。

 

これは

私が

私の仲間全員で共有したい

メッセージだ。

 

いや、

人類全体で

共有したいメッセージだ。

 

我々は

まだ

何も成せていない。

すべては

ここからだ。

 

つづく

 

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