自分自身の真本音に素直に生きることにより、

人は心に「自由」を感じるようになります。

 

それにより、自然に「自分らしさ」が

滲み出るようになります。

 

それにより、その人独自の「生まれ持った味」や

「先天的な魅力」や「天性の強み」が

本人の知らないところで発揮されるようになります。

 

本当に面白いことなのですが、

その人にとっての、それらの「天然の力」が

伸びている時は、

あまりに自然過ぎて、本人が気がつかないのです。

 

周りから見れば、明らかにその人は変化しているのに、

当の本人がまったく気づかないのです。

 

それはまるで、

子供が自分の身長が日々伸びていることに

気づかないのと同じです。

 

「大きくなったねぇ」と親は感嘆するのですが、

当の本人は、そんなことは知ったこっちゃない、

という感じです。

 

私はよく、それでいいかな、と

思います。

 

本人が意識していないのに勝手に

醸し出される魅力こそが、

本当の魅力ではないか、と。

だから、あえてそれをフィードバックしないままで

おいた方がいいかな、と。

 

私の経験則ですと、

6割くらいの人が、そのパターンです。

本人には何もお伝えせずに放っておくのです。

その方が、その「天然の力」はますます伸びていきます。

 

ところが、4割くらいは

どこかのタイミングでそれをフィードバックした方が

よい、という人がいます。

 

木村さんも、その部類でした。

(→前回記事)

 

ただしその場合、フィードバックのタイミングが

大切です。

 

ただやみくもに、

「あなたは、こういった力が出るようになりましたよ」

と伝えても、本人が納得しない場合があります。

実感がないからです。

 

実感を得るために最も良いタイミングは、

その人の「天然の力」によって

わかりやすい現実(結果)が引き起こされた瞬間

です。

 

その瞬間にフィードバックすれば、

本人も実感を持って納得できます。

 

私は、木村さんにとってのその「現実」を

待ちました。

それは、恐らくすぐに現れるだろう、と思ったからです。

 

そして実際にそうなりました。

 

平井チームが、ある新規事業を

立ち上げることになりました。

 

そのためのプロジェクトチームの発足が

計画されたのですが、

そのリーダーとして、木村さんが選出されたのです。

 

これは、平井さんからの指名でした。

 

面白かったです。

 

その指名の直後に、木村さんのコーチングが

ありました。

 

彼は悩んでいたのです。

 

「たけうちさん、

実は、新規事業を行なうことになったのですが、

そのリーダーに私が選ばれました。

平井からの指名なのですが、

私なんかでよいのでしょうか?」

 

私は笑いました。

 

「あれだけ自信満々だった木村さんが

何を言われるのです。笑」

 

「いやぁ、自信満々と言っても、それは

自己保身のために無理にそうしていただけで。

あれは本物の自信ではないですよ。

たけうちさんが一番よくわかってるじゃないですか。」

 

「あっははは。

木村さん、本当に謙虚になりましたよねぇ。

謙虚になり過ぎじゃなですか?」

 

「いやいや、茶化さないでください。

ホントに、なんで私なんかが選ばれたのかわからないですよ。

私は、平井に取り消してもらおうと直談判しようと

思ってます。」

 

「何言ってるんですか。

どのようにして木村さんが選ばれたか

聴いていませんか?」

 

「いや何も。

平井が突然私を指名しました。」

 

実は平井さんは、木村さんが真本音度合いを上げ、

彼の「天然の力」が発揮されるのを見て、

本当に心の底から、「リーダーは彼しかいない」と

判断されたのです。

 

まずはそれを私に相談されました。

私も、一押し、でした。

 

さらに平井さんは、平井チームのメンバー全員の

意見を聴いたのです。

「新規事業チームのリーダーを木村にするのは

どう思う?」と。

 

すると全メンバーが、

「新しいことをするなら、木村さんしかいないでしょ」

というような反応だったそうです。

 

平井さんはそれを聴いて、

感動のあまり、涙が出そうになったそうです。

 

木村さんは、

自分がどのような「天然の力」を出しているのか

まったく気づいていなかったのです。

 

木村さんの「天然の力」とは

『創造力』

でした。

つまりは、新たな何かを生み出す力。

 

しかしそれは、

木村さん自身の発想によって生み出されるものでは

ありませんでした。

 

木村さんと共にいるメンバー達から

発想されるもの。

 

だから木村さんは純粋に、

「みんななんて、凄いんだ」

と思っていました。

ですからコーチングの場では、

「最近、みんなの成長が凄いんですよ。

本当に私は、追い抜かれそうです」

と木村さんは言われていました。

 

しかし、そのみんなの「凄さ」は

その場に木村さんがいるからこそのもの

だったのです。

 

つづく