すべてに意味があったさ

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水の中を
ビュンビュン
泳いでいく。

まるで
水なんか
ないかのように。

空中を
飛ぶかのように。

まったく
抵抗を感じずに。

自由自在に。

自分の周りに
あるもの
すべては、

自分が
進むために
ある。

すべての存在が
自分の仲間だ、
と。

敵・味方
という短絡的な
表現をあえて使えば、

すべてが
味方だと。

すべての
存在が。

世界は
豊かさに
満ちている。

一見、
不完全に見える
ものも、

それそのままで
完全であり、

一つとして
存在意義のない
ものはなく、

一つ一つが
あるからこそ、
この世界なのだ、
と。

水中を
泳ぎながら
感じている。

あぁ、あんたは
水中を
体験したんだな。

水中を
駆け巡ったんだな。

良い体験を
したな。

で、どうだい、

水中から出て
人間に戻った
今の感覚は?

物足りない
かい?

窮屈かい?

そうでも
ないよ。

水中の感覚は
ずっと
残っているよ、
ここにね。

よかったな。

じゃあやっと
あんたも
いっぱしの
人間だな。

あぁそう思うよ、
私もね。

で、
どうするんだい?
ここからは。

もちろん
自分に素直に
生きるさ。

決めたことを
決めた通りに
やっていくさ。

そうか、
何も変わらなかったな。

そりゃそうさ。

最初から
私はちゃんと
生きている。

そうではない、

思った時期は
長かったが。

すべてが
必要だったんだ。

水中を泳ぎながら
感じたようにね。

つづく

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