還った

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吹き荒ぶ
風の向こうに、

霧の向こうに、

黒い影が
ある。

巨大な
山のようだ。

ところが
そこに近づけど、

何もない。

小さな
せせらぎのような
川が
一本、流れている
のみ。

ここには
山があった
はずだ。

その呟きは
ただ
せせらぎに
消えていく。

その流れに
足を浸して
みる。

・・・と、
ドクンという
強い衝撃のような
ものが
私の胸を打った。

山、だ。

山、は
確かにここに
ある。

目には
見えないのに。

そうか、
やはり、
ここに、
あったか・・・。

およそ
人間という存在の
持つ
ありとあらゆる
感情が

内側から
一気に解放され、

滝のような涙が
私の目から
溢れ続けた。

川のせせらぎに
私は
仰向けに
倒れ込む。

山、と
共にある。

と、
さらにわかり、

さらに、
泣いた。

あまりに
時間が
かかり過ぎたよ。

でもやっと
戻って
来れたんだ。

つづく

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