馬鹿な直観

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山のてっぺん

いることは
わかるのだが、

その
肝心の山が
見えない。

自分の立っている
足元が
見えない。

だから
前にも後ろにも
横にも
移動できない。

何の壁も
ないのに、

八方塞がり
だ。

風も強い。

これ以上
強くなれば、
私は
転げ落ちるしか
ない。

すぐ下が
草地であれば
良いのだが、

ひょっとすると
垂直に落ちる
断崖かも
しれない。

なにしろ
自分が立っている
この山の
形がわからない
のだ。

・・・

そんな状態
なのに、

後ろから
私を押す
風がある。

落ちて
しまう恐怖。

でも
直観的には

この風に

追い風に

この身を
委ねよ、


くる。

怖い。

しかし
迷う時間は
きっと
1秒もない。

私は
風に押される
ままに
一歩を前に
踏み出した。

その瞬間、
本当に
落ちた。

・・・

よく
死ななかった
と思う。

気がつくと
私は
谷底にいた。

すぐ目の前に
壁がある。

見覚えのある
壁。

そうだ、
私は
この壁を
攀じ登り、

先ほどの
てっぺんまで
行ったのだった。

もう二度と
あんなことは
すまい、


思うのだが、

私の直観は

またここを
登れ

と言う。

おいおい、
勘弁してくれよ!


内心
叫びながらも、

気がつけば
もう
その壁に
取り付いている。

同じことを
繰り返し
同じ失敗を
繰り返す
だけではないか。


理屈的には
思うのだが、

でも
直観は
そうは言わない。

ただ、

登ろう!


のみ。

そう。

どれだけ
納得が
行かなくとも

私は
私の直観に
従う。

どれだけ
馬鹿だと
思っても。

これまでも
そうだったし、

これからも
そうだ。

つづく

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