思い切って信じてみよう

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広い野原を

走っていたら、

断崖絶壁に

出た。

 

地面が割れ、

深い谷が落ちている。

 

絶壁から顔を出し、

恐る恐る下を

覗けば、

その谷はあまりに深く、

下は暗く、

まるで奈落の底だ。

 

ここを落ちたら

一巻の終わりだと、

全身が震えた。

 

でも私は

この深い谷を

越えなければ

ならない。

 

ここを飛び越えて、

向こう岸に行き、

さらに野原を

突き進まなければ

ならない。

 

しかも、

期限が

迫っている。

 

切り落ちた

深い谷の向こう岸まで

恐らく50mほど。

 

さて、

どう行くか?

 

・・・・・・

 

すると、

向こう岸に

人が現れた。

 

こちらを見て

ニコニコしている。

 

手を振ってきた。

 

私も手を

振った。

 

声が聞こえた。

 

「早く

おいでよ!」

 

と。

 

「渡る術が

ないんだ!」

 

と私が

叫ぶと、

 

「大丈夫!

思い切って

飛んでごらん。

飛べば、

暗い谷の奥から

風が吹き上がってきて、

あなたが

落ちることはないから。

そして、

その風が

あなたをこちら側まで

運んでくれるから!」

 

との返事。

 

私はその人を

じっと見つめた。

 

するとその人も

私を

見つめてきた。

 

50mも離れているのに、

目と目が合った瞬間、

つながり合えた

気がした。

 

嘘を言っているようには

思えなかった。

 

とは言え、

本当にその人の

言う通りになる確証は

何もない。

 

とは言え、

ここを飛び越える

術も

他にはない。

 

どうする?

 

あなたなら

どうする?

 

・・・・・・

 

私は

躊躇なく

跳んだ。

 

すると、

本当に暗い谷から

風が吹き上がり、

私は

飛んだ。

 

風に身を委ねると

難なく

向こう岸に

たどり着いた。

 

その人は

その様子を

ニコニコと

見守っていた。

 

その人のもとに

降り立つと、

その人は

 

「おかえり」

 

と笑った。

 

「あなたは

どなたですか?」

 

と私が

訊くと、

 

「何言ってんの」

 

と、

さらに笑いながら、

突然その人は

私に近づいてきた。

 

えっ?と

驚く間もなく、

その人は

私に溶け込んだ。

 

それで

わかった。

 

なんだ、

私じゃないか。

 

私の

真本音だった、

と。

 

・・・・・・

 

私は私の

真本音を信じた。

 

だから、

すぐにこちらに

来れた。

 

しかしもし

信じていなかったら

どうなっただろう?

 

間違いなくまだ

もとの場所に

いただろう。

 

そして

ここをどう渡るかを

悩んでいるか、

もしくは

あきらめるか・・・。

 

いずれにしても

多大な時間が

かかるだろう、

ここまで来るには。

 

そう思いながら

野原をさらに

進むと、

またもや

断崖絶壁が。

 

今度は

向こう岸まで

100mくらいある。

 

しかし

またもや向こう岸に

人が現れた。

 

遠くて豆粒の

ようだが、

やはりあれも

私の真本音なのだろう。

 

その人は

「おいでおいで」と

手で合図をした。

 

だから私はまた

躊躇なく

跳んで、

そして飛んだ。

 

あっという間に

次の岸へ。

 

恐らくこれから

どれだけ多くの

谷が現れても、

その向こうに

真本音が現れるならば、

私は難なく

進み続けるだろう。

 

もちろん

谷の難易度は

これからずっと

高まるかもしれない。

 

しかし、

やることの本質は

同じだろう。

 

真本音を信じて

その通りに

進むだけだ。

 

私は、

最初の50mの谷で

経験ができた。

 

だから

より確信を持って

真本音の通りに

進むことができるように

なった。

 

みんな

そうなればよいと

思う。

 

真本音は

無茶しない。

 

いやいや、

跳ぶのは無茶でしょ、

言われるかも

しれない。

 

しかし、一度でも

跳んでしまえば、

それがまったく

無茶ではないことは

よくわかるのだ。

 

そんなもんだ。

 

だから

思い切って

やってみようよ、

真本音の通りに。

 

つづく

 

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