チームコーチング

本当はここに二人いる

1対1の会話や、

複数人のミーティングの場で

皆が沈黙してしまう瞬間が

ありますね。

 

沈黙の時、

いつもどうしていますか?

 

沈黙の時間は

ちょっと居心地が悪く

なりますね。

 

緊張感が高まってしまう

こともあります。

 

それが何となく嫌なので、

沈黙を避けるように

その場を盛り上げたり、

何か話題を提供する人が

出たりします。

 

1対1の場合は、

沈黙が怖くて

延々と喋り続ける人も

いますね。

 

沈黙。

 

確かに、

ちょっと怖いかも

しれません。

 

でも私はこの

沈黙の時間こそを

大切にしています。

 

沈黙の間に

「実在」が大きく活性化する

場合が多いからです。

 

・・・・・・

 

これまでの傾向として、

実在を感じ取ることが

できるようになればなるほど、

口数が減る人が

多いようです。

 

無駄な一言が

なくなっていくのです。

 

場を取り繕うための

言葉が

ほぼ、なくなります。

 

建前もなくなります。

 

おべっかも迎合も

なくなっていきます。

 

結果、

その人は沈黙することが

多くなります。

 

沈黙しても

不安はありません。

 

実在を感じ取って

いるからです。

 

実在を感じ取るということは

目の前の人との

つながりを感じ取るという

ことです。

 

さらに、

目の前の人との

エネルギーの交換や循環も

感じ取れます。

 

その安心感が土台にあるため、

表面上の言葉のやりとりが

どのようなものであったとしても、

それに揺らされることは

ありません。

 

例えば、少し極端に言えば、

目の前の人が自分に

何か批判的な言葉を投げて

きたとしても、

実在レベルでその人との

エネルギーの循環が

とても気持ちよく、

その人と自分との

あたたかなつながりを

感じ取れていたとしたら、

表面上において

どのような批判をされたとしても、

その場はとても

居心地のよいものとなります。

 

表面上のやりとりだけが

コミュニケーションでは

ありません。

 

実在レベルでの

コミュニケーションを

私達は誰とでもいつも

とっており、

実はそちらの方が

圧倒的に影響力が

大きかったりします。

 

端的に言えば、

実在レベルでは

「好き」

と言いながらも、

現実レベルでは

「嫌い」

と言うこともあります。

 

そこでもし

実在レベルを感じ取れて

いれば、

「何言ってるんだよ」

と笑いながら受け止める

ことができるのです。

 

その余裕とゆとりが

人生の展開を

大きく変えていきますね。

 

・・・・・・

 

私達の人生は、

一つ一つの

人とのコミュニケーションによって

大きく変わります。

 

実在コミュニケーション力を

持つことは、

人生を非常に

豊かにしてくれます。

 

誤解とか齟齬が

激減します。

 

人に裏切られる怖さよりも、

人との本質的なつながりの

深さに驚く悦びの経験が

圧倒的に増えていくでしょう。

 

・・・・・・

 

以下は、

話をわかりやすくするための

喩え話だと受け取ってください。

 

私は、

Aさんと向き合う時、

現象(現実)のAさんと

実在のAさんを

同時に感じ取ることができます。

 

それは、

現実のAさんの隣に

実在のAさんが立っている

ような感覚です。

 

ですから私はいつも

二人のAさんと会話をします。

 

もちろん

私の口から出る言葉は

現実のAさんに向けたものです。

しかしその一方で、

実在のAさんにも私は

心の中で常に言葉を

投げかけ、

実在のAさんとも会話を

しています。

 

私のコーチングは、

まずは実在のAさんに

訊くのです。

「次、どんな質問を

投げたらいいですか?」

 

すると、

実在のAさんが答えます。

「では、〜〜という質問を

私に投げてください。」

 

私はその通りの質問を

現実のAさんに投げます。

 

それに対して

現実のAさんが

お答えになります。

 

「どう?この答えは?」

と私は実在のAさんに

問います。

 

実在のAさんは例えば、

「う〜ん、まだまだだねぇ。

全然素直な答えじゃないねぇ・・・。

では、こんなメッセージを

私に伝えてください」

と、

次に私が投げるべき言葉を

教えてくれます。

 

私はその通りのメッセージを

現実のAさんに

投げます。

 

そして現実のAさんから

返ってきた言葉を

実在のAさんに確認し、

さらに次に

何をすればよいかを

相談します。

 

時々、実在のAさんにも

次はどうすればよいかが

わからなくなることもあり、

二人でう〜む、と悩むことも

あります。

 

でもこのように

実在のAさんと相談しながら

現実のAさんに関われば、

現実のAさんは

自分自身の真本音に

非常にたどり着きやすく

なるのです。

 

これがいつもの

私のコーチング。

 

つまり、

現実のAさんを

実在のAさんと私の二人が

コーチングしている。

 

実在のAさんとの

協業作業なのです。

 

しかしこれは

私だけの特有の力では

ありません。

 

こういったコミュニケーションを

すべての人が

本当は取れるのです。

 

それが私達人間が

もともと持っている

コミュニケーション力の本領です。

 

その本領を

取り戻していただくことが

私のあらゆるサポートの柱の一つに

なっています。

 

これは

1対1のコミュニケーションだけでなく、

チームによるミーティングでも

同様です。

 

私がある組織の

チームコーチングに入ると、

そこにもし10名の人がいたとしたら、

10名の皆さんの実在とも

会話をしながら進めます。

 

つまりそこには

20名の皆さんがいるような

ものです。

 

そして、

実在の10名と私が、

現実の10名をチームコーチング

するのです。

 

ですから、

話をもどすと

沈黙。・・・

これがいかに

大切なことか。

 

皆さんが、沈黙したその瞬間に

いかに皆さんの「実在」が

活性化するかを

私はいつも実感しています。

 

実在の活性化を

現実の活性化に

つなげる。

 

私は、こういった

実在コミュニケーションを

駆使できるコーチが

増えるといいなぁと

願っています。

 

そしてできれば、

企業の経営者や

組織のリーダーとなる人が

実在コミュニケーションできると

いいなぁ、と

願っています。

 

いえ、本当は

すべての人に

早く、実在コミュニケーション力を

取り戻してほしいのです。

 

そのために私にできることは

何か?

 

それが私の今後の活動の

基本テーマです。

 

つづく

 

未来を描いたら、心がほぐれた

私達の心の中には

「実在」の世界が

広がっています。

 

その「実在」の世界とは

自分のみの世界では

ありません。

 

隣のAさんや遠くのBさんや、

知らないCさんや、

・・・様々な人と

つながっています。

 

そのつながりとは、

次元が高くなればなるほど

深くなり、

もともとは「一つ」であることを

高い次元の私達の意識は

よくわかっています。

 

さらに、

「実在」の世界においては

過去も未来も今も

すべて「一つ」です。

 

ですから

一年後の未来も、

20年後の未来も、

100年後の未来もすべて

今ここにあります。

 

私達が「現象(現実)」のレベルで

「自分の望む未来」

と呼んでいるものは、

「実在」のレベルでは、

 

「今ここにある未来」

 

と言ってよいでしょう。

 

今ここに実在している未来

なのです。

 

真本音で生きている人は

その「実在の未来」を

自らキャッチできるように

なります。

 

しかし残念ながら、

真本音を忘れてしまっている人には

それがキャッチできません。

 

すると、自分の未来を

「実在の未来」とは関係のない

単なる「イメージの未来」として

描いてしまいます。

 

それは、

自分が本当に望む未来

とは別のカタチです。

 

自分の望む未来とは

別の未来を目指すことで、

私達の中には

多大なるストレスが生じます。

 

自分で自分のビジョンを

せっかく描いたのに、

そこに向かえば向かうほど

苦しい人生になる場合、

その根本的原因は

そこにあります。

 

「実在の未来」を

自らキャッチできるように

なること。

 

そのためには、

「今を大切に生きる」

ことが必須です。

 

つまり、

今を真本音で生きる

ことが日々できれば、

ある時ある瞬間に、

「実在の未来」が

急に目の前に開けてきます。

 

「あぁそうか、

私はこんな未来を実現するために

生まれてきたんだったな」

ということが、

それがまるで当たり前で

あるかのように、

忘れていたことを思い出す

感覚で、

顕在化します。

 

ですので、

「今を大切に生きる」

ことを第一にし、

その結果として

「自分の本当に望む未来を知る」

という順番が

自然です。

 

・・・という原理原則を

わかった上で、

私はあえて、

「イメージの未来を描く」

というサポートを

することがあります。

 

その人が

本当に望む未来とは

違う可能性が高い。

反応本音レベルの

発想である。

ということをわかった上で

それでも

未来をイメージしていただくのです。

 

どんな場合にそれが有効か、

というパターンがいくつか

ありますので、

それをご紹介します。

 

一つ目は、

「イメージの未来」を描くことで、

その人の視界が広がる場合

です。

 

私達はどうしても、

目の前の物事をこなす、

ということに意識を捕らわれ過ぎる

傾向にあります。

 

例えば、

毎日の仕事が忙しいと、

目の前の仕事を必死にこなす

だけで日々の時間が

過ぎていきます。

 

すると、

視界が非常に狭くなります。

 

視界が狭まれば

発想も狭まります。

 

発想が狭まれば、

問題解決力とか

悩んでいること迷っていることの

答えを見つける力が

著しく減退します。

 

ちょっと広い視野から

ものを考えればすぐに

見つかりそうな答えが

なかなか見つからなく

なるのです。

 

側から見れば、

「こうすればいいじゃん」

とすぐにわかることでも、

本人からしてみれば、

まったくの視界外。

思考外です。

 

視界が狭まれば、

とても些細なことや

普通なら気にもならないことが

気になり出し、

悩まなくてよいことで

悩み始めてしまう

という傾向も出ます。

 

そういった

狭い世界に入ってしまっている

その人の顕在意識を、

一度、その狭い世界から

解放する。

 

一度、抜け出してみて、

もっと広い視野で

今の現実を眺めてみる。

 

そんなことをする場合に

有効な方法の一つが、

自由に未来を描く、

ということです。

 

これはコーチングの手法として

一般的に使われている

ことですね。

 

そしてこれは個人だけでなく、

組織にも言えることです。

 

例えば、

私がコーチの仕事を始めた

初期段階でのお話ですが、

ある20名くらいの

中小企業さんがありました。

 

そこの社員さん達は

日々の業務をこなすだけで

精一杯でした。

 

ある意味の職人集団で、

社員さん同士の団結力は

ほぼ、ない状態で、

それが社長さんの悩みの種

でした。

 

そこで、

何とかならないか?という

ご依頼を受けました。

 

当時はまだ

真本音という概念そのものに

私が気づく前の時代でしたが、

私は全社員さんを集めて、

4つのグループに分け、

次のような問いを投げました。

 

「もし、魔法使いが現れて、

何でも望む未来を叶えてあげよう、

と言われたら、

どんな未来を叶えてもらう?」

 

これをまずは

一人ずつ発想していただき、

その後、グループごとに

みんなで一つの答えを

出していただきました。

 

若い方が多かったこともあり、

それが結構

盛り上がりました。

 

「お前、そんなことを

考えていたのか!」

 

という笑いが、

あちこちで聞かれました。

 

そしてまた

1ヶ月後に同じように

全社員さんを集め、

今度は、

 

「もし1000万円のお金が

手に入ったら、

それでどんな事業をしたい?」

 

という問いを投げて

みました。

 

これもかなり

盛り上がりました。

 

こんな感じで、

未来に対する自由発想を

毎月、続けました。

 

そこで出される発想は

もちろん、

お遊びのような発想です。

 

今から見れば、

反応本音レベルの発想ですし、

「実在の未来」とは

ほど遠い発想です。

 

しかし、

それを続けて4ヶ月目。

 

いつものように

楽しく発想する場が終わり、

皆がそれぞれの職場に

戻ろうとした時に、

ある一人のパートの女性が

みんなに声をかけました。

 

「ねぇ、

会社の自販機の周りにさ、

いつも空き缶が散乱してるけど、

みんなできれいにしない?

掃除係を当番でやるとかさ。」

 

すると、

 

「あっそうだね。

そうしようよ。」

 

と、すぐに別の人が反応

しました。

 

これがすべての

始まりでした。

 

ここからその会社の

雰囲気が変わり始めました。

 

皆で力を合わせて

何かを行なう、

という雰囲気が生まれたのです。

 

一年後、

その会社の売上は

2倍になりました。

 

皆で力を合わせて

新規営業をするという展開が

その後、始まったからです。

 

それは、社長が考えても

みなかった展開でした。

 

しかも、社員さんの中から

「社長、我社は将来、

全国展開しましょうよ!

俺、支店長やりたい!」

という声が出始め、

皆で、本当のビジョンを描く

という展開にもなりました。

 

さらに次の年には

1.5倍以上の売上と

なりました。

 

実はこの会社、

私が単独でサポートさせていただいた

初めてのお客様です。

 

私のチームコーチングの

スタートでした。

 

もっとも当時はまだ、

コーチングそのものが

日本に入ってきていませんので、

チームコーチングという

概念はありませんでしたが。

 

しかし、

未来を描くということは

とても楽しいことなのだな、

ということを

身をもって知りました。

 

たとえ「イメージの未来」だとしても、

それがきっかけで

「今を大切に生きる」

ということにつながれば、

「実在の未来」につながる、

という最初の体験だったのかも

しれません。

 

つづく

 

すべては、自問自答から始まる

自問自答。

 

私達現代人にとって

今最も必要なのは、これかもしれないと

最近、私は強く思います。

 

「自問自答」とは、

「思考」とは異なります。

 

まず、「自問」とは

自らに問いかけることです。

 

まるで自分自身を他人のような感覚で

自らに問いを投げます。

 

それが難しいようであれば、

鏡を見ながら、鏡の中の自分に

問いかけるとよいでしょう。

 

そして、「自答」とは、

問いを受けた自分の中から

自然に湧き上がってくる答えを

「待つこと」です。

 

決して、

頭で答えを形作ってははいけません。

 

私達の本当の答え、

つまり、真本音の答えは、

頭の中にはありません。

 

とは言え、

思考は大事です。

 

私は、思考とは

「思考を超えた答えを見つけ出すための

有効な手段である」

と思っています。

 

懸命に思考することで、

思考を超えた答えが見つかります。

 

思考をしながら、

思考の範疇の答えを見つけ出しても

私達人間は本当の意味では

納得できません。

 

確信を伴った直観的な答えに

たどり着いた時に、

初めて納得します。

 

確信とは、

迷いのない答え。

淀みがゼロの答えです。

 

それは、

思考の範疇からは決して

出て来ません。

 

しかし、とことん思考をすることで

思考以外のところからやって来ます。

 

そういった意味で、

思考は大事ですが、

思考に捕らわれてはいけません。

 

そして、

自問自答を毎日のように繰り返すことで、

その、思考そのものもいつしか

必要なくなります。

いえ、正確に言えば、

思考はするのですが、

最低限の思考だけで大丈夫になります。

 

要するに、

確信的な直観を

意図的に引き起こすことができるように

なります。

 

直観力とは、

物事をよく考えない(思考しない)人からは

生まれません。

 

しかし、とことん思考をする人は

思考をそれほどしなくてもよいくらいの

直観力が養われます。

 

そしてそのためには、

自問自答を繰り返すのが

最適・最速です。

 

これまで、頭の中でグルグルと

考えていたことがあれば、

自分をまるでクライアントのように捉え、

自分自身に問いを投げてみましょう。

 

今の自分には

どのような問いを投げることが最善か?

を考えてみましょう。

 

すると、

問いを投げることがいかに重要か?

そして、

最適な問いを見つけることがいかに重要か?

をお分かりいただけると思います。

 

コーチングとは、

その、問いの部分をサポートすることですが、

コーチングを受けることで

自問自答力を増すこともできます。

 

それはつまり、

直観力を増すことです。

 

自らの進化のための自問自答。

 

自らの真本音の答えを

見つけ出す自問自答。

 

そういった力を養うことが

私のコーチングの目的の一つです。

 

そして、

自問自答力のついた人達が集まり、

お互いに問いを投げ合うことで

一人一人の自問自答の範疇を超えた

発想を掘り起こし合う。

これが、チームコーチングの本質です。

 

つまり、

自問自答できるチーム(組織)を創る。

 

これが私が大切にしている

組織サポートの本質です。

 

まずは。

 

答えがすぐに見つからなくてもよいので、

自分自身に問いを投げること。

 

投げ続けること。

 

そのためには、

どのような問いを投げることが

今は最善なのか?を

それこそ、必死に考えること、ですね。

 

つづく

 

確信を持った指示は、押しつけでもいい

木村さんは、新規事業プロジェクトチームの

真本音を「理念」として言語化することが

できました。

 

それが、

『全員がチームの代表として

お客様と向き合う』

です。

(→前回記事)

 

言語化することで、

自分自身がこの理念に外れる行動をとっていたことを

木村さんは自覚しました。

 

彼は、とても清々しい表情で

「自分は間違っていた」

と言いました。

自分が正しいとか間違っているとか、そんなことよりも

真本音の理念を見つけ出した喜びの方が

大きかったのでしょう。

 

もちろん、弓江さんも喜びました。

 

木村さんが「間違っていた」と言った時、

弓江さんは、「そうでしょう!」と相づち。

そして二人で笑い合いました。

 

いい感じです。

 

すかさず私は次の問いを投げました。

 

「弓江さん、

弓江さんは木村さんをサポートするために

何をすればよいですか?」

 

「えっ?」

 

「今ならわかるのではありませんか?」

 

弓江さんは少し目を瞑って考えました。

 

そしてこう言ったのです。

 

「木村リーダー、

私は木村リーダーに何をすれば

サポートになりますか?」

 

この一言。

 

これは本当に木村さんには嬉しかった

ようです。

 

「えっ、そう言われてもなぁ・・・。」

と言いながら、とても嬉しそうな表情。

 

「木村さん、

ここはしっかり考えて、弓江さんに

指示を出してください。

真本音の指示を。」

 

しばらく木村さんは考え、

言いました。

 

「私と一緒にミーティングの場を

創ってください。

弓江さんにミーティングの司会を

お願いします。」

 

これには弓江さんが驚きました。

 

「えっ? 私が司会ですか?

いや、私は司会の経験はありませんし、

向いていないと思います。」

 

「いや、私は弓江さんに司会をしてもらいたい。

それが、とてもいい気がする。

たけうちさん、どうです?」

 

私は大賛成でした。

 

「実はね、木村さん。

弓江さんにはコーチの才能があるんですよ。」

 

「そうですか!

実は今、私も何となくそんな気がして。

私は以前、自分がプロのコーチになるなんてことを

言っていましたが、私なんかよりも

弓江の方がいいかな、って思ったんです。」

 

さすが木村さんです。

 

「弓江さん、私が弓江さんに司会のやり方を

教えますので、やってみませんか?

司会というよりも、チームコーチングのコーチ役

ですよ。」

 

最初、弓江さんは「え〜っ?」と言いながら

拒んでいましたが、

木村さんが、「これはリーダーとしての指示です」

の一言で、あきらめました。笑

 

「そのかわり、しっかりと事前準備をしましょう。

ミーティングの目的と、

そこでどのような問いを投げるか?を

しっかり準備しましょう。

その上で、あとはアドリブでやればいいんです。

コツはすべて私が教えます。」

 

ということで、弓江さんは司会をやることに

なりました。

 

今思えば、これが本当に

運命の分かれ道でした。

 

司会をすることで弓江さんは、

本来彼女が持っていた天性の力を

ぐんぐん発揮することになります。

 

彼女こそ、

プロのコーチと言ってもよいくらいの

力を持っていたのです。

 

つづく

 

次元を高めなければ、見出せないものがある

皆さんは、「次元が上がる」という体験を

されたことがあるでしょうか?

 

企業現場でも

「なんか、今回の会議、いつもと次元が

違ったよな」

とか

「この事業部は絶対次元が高いよな」

とか、

本当に時折ですが、社員さん達が自然に

「次元」という言葉を使っているのを

聴くことがあります。

 

チームコーチングをやっていますと、

実は、毎度のように私は次元の高まる瞬間を

体験しています。

 

あまりにも急激な高まりの場合は、

私の体全体がフワッと無重力状態のように

浮き上がる感じさえします。

 

実際にある時の研修では、

私は講義中に一瞬倒れそうになりました。

それくらいに、

一気にそこにいる皆さんの次元が

上がったのです。

 

次元が上がると、

心が開放されるのと同時に、

そこにいる他の皆さんとの繋がり感が

一気に深まります。

 

わかりやすい体験で言えば、

コンサートやライブで

演奏者(ミュージシャン)とお客さんとが

一つになることがあります。

演奏者同士が完全に一つに繋がってしまうことも

あるそうです。

 

それに近いです。

 

が、そのような特殊な空間や、何かに熱狂しないと

訪れないもの、でもありません。

 

単純に言えば、

真本音度合いの高い人と向き合っていると

自然に次元は上がって行きます。

 

次元が上がれば、

発想が変わります。

 

それにより、これまでずっと答えの出なかった難問の

答えが突然見出せたりします。

 

例えば、

AかBか?で悩んでいたことがあったとしても、

次元が高まると、

「そんなのはどちらでもいいじゃん」

という気持ちになり、

AかBか?から解放され、

その結果、これまででは及びもつかなかった答えに

行き着きます。

 

迷いが迷いではなくなります。

葛藤がなくなります。

 

真本音度合いの高まりは、

自然に次元を高め、

それにより、これまでとは全く別次元の

発想と行動を生み出します。

 

それを組織やチームで起こしていくのが

チームコーチングの本質です。

 

ちなみに、

次元にはいくつかの階層があります。

その具体的な解説も、いつかこのブログで

書かせていただくつもりです。

 

さて。

 

木村さんと弓江さんの二人コーチング。

 

弓江さんが真本音の想いを

静かに語ったことで、

場の次元が一気に高まりました。

(→前回記事)

 

ここからがチームコーチングの

本番です。

 

弓江さんが言われた想いについて、

私はあえて木村さんにその返事を

促しませんでした。

 

あれだけの想いを弓江さんは語ったのですから、

それについてしっかりと返事をすることが

礼儀であり、かつ、誠実さであると

「一般的には」

思いますが、

次元の高まった状態では、それよりも

大切なことがあるのです。

 

弓江さんの言葉により、

明らかに木村さんの心の扉が開きました。

それを感じ取った私は、

すかさず、木村さんに問うたのです。

 

「木村さん、

新規事業プロジェクトチームの真本音

は何だと思いますか?」

 

「チームの真本音、ですか?

それは、チームの方針ということですか?」

 

「いえ、すでに決まったいる方針のことを

今は言っているのではありません。

一人一人の個人と同じように、

チームや組織そのものにも、真本音はあります。

正確に言えば、

個人の真本音は最初からありますが、

チームの真本音は、最初はありません。

しかしそのチームを構成する人達が

自然発生的に生み出すことができるのです。

どうでしょうか?

もう新規事業プロジェクトチームには

真本音が生み出されたのではありませんか?」

 

すると木村さんは

直観的に答えました。

この直観が、ほしかったのです。

 

「いえ、もうすぐ生み出せると思いますが、

まだその直前にいます。

まだ、このチームに真本音はできあがっていません。」

 

「でも、それが何か?はわかるのでは?

チームの真本音を言語化すると、どうなりますか?」

 

木村さんは少し目をつぶりました。

そしておもむろに開け、

 

『全員がチームの代表として

お客様と向き合う』

です。

 

と答えました。

 

その瞬間、木村さんは私をまっすぐに見つめました。

その彼の目の輝きを見て、

危うく私は涙をこぼしそうになりました。

 

つづく

 

心を開き合うだけでは足りません

木村さんと弓江さんの二人コーチング。

(→前回記事)

 

二人とも短時間でオープンマインドと

なりました。

場の空気があたたかくなってきました。

 

ここで私は一気に場の次元を上げることを

しました。

普通では、なかなか投げない質問を

あえて弓江さんに投げました。

弓江さんの真本音の高まりを感じ取った

からです。

 

「弓江さんの人生の目的は何ですか?」

 

虚を衝かれた弓江さんは

一瞬、フリーズしました。

 

しかしさすが弓江さんです。

これまでの私のやりとりの中で、

私の無茶振りに慣れてきていたようです。

こういった時は何も考えず

ただ口を動かせばいい、というコツを

すでに掴んでいました。

 

彼女はとっさに答えたのです。

 

「リーダーのサポートです。」

 

答えながらも、弓江さん自身が

その答えに驚いていたようでした。

 

「どんな意味かわかります?」

 

と私が問うと、

 

「私はずっと探してるんです。

自分が全力でサポートしようとするリーダーを。

それは仕事の上、だけでもない気がします。

例えば私の人生のパートナーとなる人とか。

私は、自分がサポートしたい人を見つけ、

その人を全力でサポートしたいのだと思います。」

 

考えて言葉にしているわけではありません。

言葉が溢れ出ている感じです。

自分で答えながら、自分で驚いている、

という状態です。

 

実はこれは日常茶飯事です。

特別なことではありません。

自分自身が抑えていた想いや願いは、

ほんのちょっとしたきっかけでフタを開け、

一気に溢れ出ることがあるのです。

 

ただしそれができるのは、

真本音度合いが高まっている時に

限ります。

 

「弓江さん、

目の前にいる木村リーダーは、

弓江さんが全力でサポートしたいリーダーですか?」

 

私は単刀直入に訊きました。

 

「はい、そうです。」

 

と答えながら、

弓江さんは目に涙を浮かべました。

 

「でも、今の私には、それをするだけの力が

ありません。」

 

木村さんは茫然とその様子を

見ていました。

 

「木村さん、

実はこれが、弓江さんの真本音です。

弓江さんは真本音で木村さんをサポートしたいと

思ってるんですよ。」

 

「は、はぁ・・・。」

 

「でもね、弓江さん。

木村さんに言いたいことがあるのでしょ?

せっかくなので、全部言っちゃいましょうよ。」

 

弓江さんは、肚を決めたように

喋り出しました。

 

「今の木村リーダーは、全然木村リーダーらしく

ないんです。

私は、木村リーダーがロックバンドをしているのを

ライブで見たことがあります。

あぁこれが、この人の本当の姿なんだと感動しました。

でもそれが全く仕事では出ていません。

特に、新規事業プロジェクトが始まってからは。

いい子ちゃんリーダーになってしまっている感じが

するんです。

でも、私は木村リーダーを尊敬しています。

木村リーダーがあのロックバンドのような姿を見せれば、

みんなついてくると思うんです。

私は、そんな木村リーダーになってほしい。

そのために私ができることがあるなら、

何でもしたいと思ってるんです。」

 

涙を流しながら、

しかし静かに彼女は語りました。

 

その瞬間、

私は、その場の次元が一気に高まったのを

感じました。

 

これは私独自の感覚なのかも知れませんが、

次元が一気に高まると、

私はその場全体がまるで霧がかかったように

真っ白に見えるのです。

と同時に、何かが開放された感覚がします。

 

弓江さんの顔も、木村さんの顔も

何か憑き物が落ちたような自然さが

漂いました。

 

さぁ、実はここまでが準備段階です。

 

私はこの状態にしたいのです。

 

次元が高まることで、

私だけでなく、その場にいる全員が

真本音コミュニケーションを

自然にできる状態です。

 

ここからが

チームコーチングの本当の意味での

スタートなのです。

 

つづく

 

素直になるだけで、物事はどんどん進みます

木村さんと弓江さんの二人コーチングを

しています。

(→前回記事)

 

私が木村さんに、

最近の新規事業プロジェクトの様子を訊くと、

彼は

「実績が上がって来たのは順調だと思いますが、

本当に真剣な人とそうでない人の差が

出始めていますね」

と答えました。

 

これは非常に面白い視点です。

 

私はさらに木村さんに問いました。

「例えば、真剣な人はどなたですか?」

 

すぐさま彼が答えました。

「弓江です。」

 

目の前の弓江さんが

びっくりしたような表情をされました。

 

この素直さ。

 

ここまでの段階で結構、

弓江さんから責められていた木村さんでしたが、

素直に彼の答えが、ポンっと出ました。

 

間違っても、これは彼のその場しのぎの答え

ではありません。

本当に素直に出たのです。

これが、

真本音度合いの高まった人同士の会話の

特徴です。

 

「弓江さんの、どんなところが真剣ですか?」

 

「目的を忘れないところです。

何のために今、これをしているのか?をいつも

大事にしています。

そしてそのための意見を私に言ってくれます。」

 

どうやらこれは、弓江さん自身が本当に

大事にされていたことのようです。

彼女の表情が一気に柔らかくなったのが

わかりました。

 

何度も言いますが、

もしこの言葉を木村さんが建前で言っていたとしたら、

それはすぐに感覚としてわかってしまいます。

二人コーチングの場は、

「向き合っている場」だからです。

 

木村さんの素直な言葉であるからこそ、

弓江さんの表情は柔らかくなりました。

 

「では、木村さんの言われる真剣さ、というのを

別の言葉で表現するとどうなりますか?」

 

「主体的であることです。

自分で考え、自分で行動する、ということです。」

 

「弓江さんは主体的なんだ。」

 

「そうです。ですから、ありがたいです。

弓江の存在は。」

 

これも本当に心の底からのつぶやきでした。

 

もともと、私が弓江さんのコーチングを行なうきっかけと

なったのは、木村さんが弓江さんの存在を

「疎ましい」と思い、いっそのこと自分がリーダーを辞めよう

とまで思ったのがきっかけでした。

 

そんな木村さんだったのに、真本音状態になれば

まったく別の顔を覗かせます。

 

実はこれもよくあることです。

 

「弓江さん以外の人は、

その点、どうですか?」

 

「はい。人によって主体性は異なります。

主体性の高い人はいます。

でも残念ながら、そうでない人も出てきました。

私は、悩みました。

主体性のない人に主体性を取り戻してもらうために

どうすればいいか?と。」

 

「もともとは主体性のある人達だったんですよね?」

 

「はい。そういったメンバーが集まってますから。

でも恐らく、プロジェクトが発想段階から実行段階に

移ることで、未経験なことに向かうことに対して

恐怖感が出てしまっているのでしょうね。」

 

「なるほど。」

 

「そこで私が私なりに出した答えが、

まずは、皆が自信を持てるようにすることでした。

そのために、自分が指示を出し、実践してもらい、

何らかの成果を上げる。

そういった経験が彼らに必要だと思いました。」

 

「あぁそれで、木村さんがすべてを決めて

皆を動かしているわけですね。」

 

「実はそうなんです。」

 

ここで、弓江さんに振ります。

 

「弓江さん、

この木村さんのお話を聴いていかがですか?」

 

「本当に失礼な言い方になってしまいますが、

あぁそこまで考えていらしたんだ、と思い

ちょっと嬉しくなりました。」

 

この言葉は、言葉だけを見ると

かなり上から目線の失礼な言い回しなのですが、

これを口にしている弓江さんは

本当に嬉しそうな表情でしたので、

思わず場はホッコリとしました。

 

しかし弓江さんは続けます。

 

「木村リーダーの意図はわかりました。

ある意味、私もそれが大事かな、とも思います。

でも本当に、それだけで良いでしょうか?

私は、一度受け身になってしまった人は

そのクセが抜けなくなってしまうと思うんです。」

 

「なるほど。

では、どうでしょう?

弓江さんには、何か良いアイデアはありますか?」

 

「う〜ん。

それがわかればいいんですが。

私は木村にはいつも文句を言うのですが、

だからと言って対策を提案できるわけではないんです。

ただの評論家になっています。

それが、もどかしいんです。」

 

今度は、弓江さんが少し素直になってきました。

 

木村さんの表情が柔らかくなりました。

 

場が良くなってきました。

二人ともがオープンマインド状態です。

真本音度合いが高い人同士ですと、

この状態になるまでが早いのです。

 

ですから私は、まずは

一人一人の真本音度合いを高めることを

大切にしています。

あくまでもその上での

チームコーチングです。

 

さて、ここからが本番です。

 

場が良くなってきたところで、

私は、少し強めの刺激を二人に与えることにました。

 

ここからが

本当のコーチの腕の見せ所です。

 

つづく

 

その二人でしかできないコーチングがある

木村さんと弓江さんの

二人コーチング。

(→前回記事)

 

一人のコーチ(つまり私)が、

二人を同時にコーチングします。

 

これがチームコーチングの

基本です。

 

私はまず、あえて弓江さんに問いました。

 

「弓江さん、

最近の新規事業プロジェクトの様子は

いかがですか?」

 

思った通り、即座に答えが返って来ました。

 

「止まってます。」

 

えっ?という意外な表情を

木村さんがされました。

 

スタートから面白い展開になりました。

 

面白いので私はあえて

木村さんに振りました。

 

「止まってるんですか?」

 

「えっ? いや、あの・・・。」

 

木村さんは動揺を隠しませんでした。

 

実は、新規事業プロジェクト自体は

順調に進んでいることは私も聴いていました。

 

ですが、弓江さんがそのように答えるということは

それとはまた違った視点からの

見え方があるのでしょう。

 

それをそのまま弓江さんに質問すればよいのですが、

ここがチームコーチングの面白いところ。

あえて、木村さんに振ったのです。

 

それにより、

一人一人の個別コーチングとはまた違った

展開が生まれます。

その展開こそが、

個別コーチングでは決してたどり着けない

何らかの気づきや答えに行き着きます。

 

「私は止まっているように思えないのですが、

なに、・・・今止まってるの? どこが?」

と木村さんは弓江さんに問いました。

 

すでに二人の会話が始まりました。

 

弓江:「えっ? 止まってますよぉ。」

 

木村:「どこが?」

 

弓江:「わからないんですか?」

 

木村:「・・・わからないよ。進んでるでしょ。」

 

弓江:「じゃあ逆に訊きますが、

何が進んでいるのですか?」

 

木村:「実績も出始めているし、

決めたことはみんなやるし。」

 

弓江:「誰が決めてるんですか?」

 

木村:「えっ? そりゃ俺が決めてるよ。」

 

弓江:「でしょ?

木村リーダーが決めていることを

みんなやってるだけじゃないですか。

それのどこが進んでるんですか?」

 

木村:「どこって・・・。」

 

やはり予想通り、

弓江さんが木村さんを責める状態となりました。

 

恐らく、木村さんが最も嫌な展開なのでしょう。

 

ここで私が割って入りました。

 

「弓江さん、

弓江さんにとって、進まない、というのは

どういうことですか?」

 

「進歩がない、ということです。

同じレベルのことを、ただダラダラとやり続けることです。」

 

「今は、そう見えると?」

 

「はい。

みんな、木村が言う通りのことしか行なっていません。」

 

ここで木村さんが何かを話そうとされましたが、

あえて私はそれを止めました。

 

「もう少し、詳しく教えていただけますか?」

 

「はい。以前はみんなでいろいろな意見を

出し合ってたんです。

もちろんすべてが手探り状態でしたから、

意見を出し合わなければ進めないという

ところもありました。

でも今は、いろんなことが軌道に乗り始めて、

会議をしても、木村リーダーがほぼすべてを決めて、

メンバーはそれを実行するだけ、になっています。」

 

「それはあまり良いことではないと?」

 

「だって、木村さんはそういうチームを創りたいのでは

ないでしょう?

みんなが主役になって引っ張っていくチームにしたいって

言われていたじゃありませんか。

今はみんな受け身です。」

 

ここで木村さんに振りました。

 

「木村さん、いかがですか?

今の弓江さんの見方については?」

 

「う〜ん、確かにそうかもしれないが、

今はみんなで発想するよりも、

決めたことを確実に実行することが

大事だと思っていますし・・・。」

 

どうも木村さんは、弓江さんを前にすると

発言が弱腰になります。

 

この弓江さんからの発言は、恐らく

今の木村さんや新規事業プロジェクトにとって

本質的な提言でしょう。

テーマとしては重要だと感じました。

 

が、あえてここで、

展開を大きく変えます。

 

「では、この件はとても重要そうなので、

後でゆっくり話し合ってみましょう。

もう一度、最初の質問に戻りますが、

木村さん、

木村さんから見た最近の新規事業プロジェクトの

様子はいかがですか?」

 

「はい。

実績が上がって来たのは順調だと思いますが、

本当に真剣な人とそうでない人の差が

出始めていますね。」

 

この言葉を聴いて、

これは面白い! と私は思いました。

 

恐らく、ここまでの弓江さんとのやりとりがなければ

出てこなかった発言かもしれません。

 

しかもこの彼の着眼点は、

弓江さんの提言と後々に統合しそうです。

 

これこそ、チームコーチングの

醍醐味です。

 

つづく

 

人は愚かだ、ということを受け入れよう

時々、私は

「たけうちさんは性善説ですよね?」

と訊かれます。

 

私がいつも真本音の話ばかりを

しているからでしょう。

 

いえ、私は性善説では

ありません。

 

人は、愚かです。

 

私は断言します。

 

人は、愚かです。

 

自分自身を含めて、私は人の愚かさを

嫌というほど、見たり、体験してきました。

 

愚かさということで言えば、

私ほど愚かな人間はいないのではないか、と

本気で思ってもいます。

 

しかしそれは

「すべて」ではない。

 

それは、自分の一部です。

 

人の一部です。

 

人には、素晴らしい部分も

愚かな部分も、

あらゆるものが詰まっています。

 

それらをすべて、あるがままに

受け取ることのできる人こそが、

真の強さを手に入れることができます。

 

いえ、「強さ」と言うと

だいぶ本質から離れてしまうかな。

 

自分がどうであろうと、

環境がどうであろうと、

希望を持とうが、

絶望に打ち拉がれようが、

関係なく、

次の一歩を淡々と、

自分の本当にすべきことを、

し続ける。

 

自分の本当にしたいことを、

し続ける。

 

それが、

真本音で生きる

ということです。

 

愚かでもいいではないか。

 

私には私のすることがある。

 

だからそれをする。

 

・・・このシンプルさ。

 

これが、

真本音で生きる

ということです。

 

すべての人が悲しみを

抱えています。

 

すべての人が怒りを

抱えています。

 

それをそのまま人にぶつけてしまう、

そんな生き方もあります。

 

でもそういった悲しみや怒りを

そのまま受け止めて、

何も否定せずに受け止めて、

しかしそれに捕らわれることもなく

次にすべきことをする、

という生き方もできるのです、

我々人間は。

 

それができている人は、

常に、心も魂も満たされています。

 

そういった生き方ができるといいな、

そういった生き方をサポートしたいな、

・・・それが私の想いです。

 

人はもっともっと

人間らしく生きられるはずです。

 

人間らしく生きる、とは

真本音で生きる、ということです。

 

真本音で生きる、とは

特別な人生を生きることではありません。

真に自分らしく

真に人間らしく

生きるということです。

 

それができれば、

すべてが調和します。

 

組織は調和し、

社会も調和します。

 

「調和させよう」と思いながら生きても

調和はしません。

 

「真の自分として生きよう」

とすることで、調和は

自然発生するのです。

 

私は、「チームコーチング」というサポート手法を

使います。

 

それは、これまでの企業現場の中で

自然に培われてきた手法です。

 

私にとっては当たり前のように使ってきた

手法なのですが、

どうも、世の中にはそういった手法が存在していないのだ、

ということに気づき始めました。

 

なぜこの当たり前のやり方が

世の中には存在していないのか?が

不思議でなりません。

 

しかし存在していないのであれば、

多くの人にお伝えした方がよいですね。

 

単純に今は、そう考えています。

 

チームコーチングの基本は、

「二人コーチング」

です。

(→前回記事)

 

二人を同時にコーチングする

のです。

 

これができるようになれば、

もっと多勢でのチームコーチングも

可能になります。

 

ただし、

二人コーチングは、いつでもどこでも

できるわけではありません。

 

二人の準備が

必要です。

 

つまりは、二人がそれぞれ

自分の真本音の人生を歩み始めること。

それがなければ

本当の調和は訪れないからです。

 

木村さんと弓江さんの話に戻せば、

私は二人の調和性は抜群であると、

認識していました。

 

しかし、それは二人共の

準備ができる

ことが前提です。

 

準備ができる前に二人を同時にコーチングしても

二人ともを打ち消し合ってしまうでしょう。

 

ですからチームコーチングとは

「始めるタイミング」

が命です。

 

ここが、コーチとしての腕の

見せ所です。

 

私は、「今」が

木村さんと弓江さんの「二人コーチング」の

始まりの時だと確信しました。

 

私は二人を呼び出しました。

 

木村さん、

弓江さん、

私。

 

3人でテーブルを囲みました。

 

「準備完了」。

二人の真本音からは

そんなメッセージを受け取った

気がしました。

 

つづく

 

大切なのは、味だよ味

人には、「味」があります。

 

普通の言い方をすれば、それは「個性」ということに

なるでしょうが、

「個性」と「味」はちょっと違うものであると

私は思っています。

 

「個性」というのはどちらかと言えば、

普段のその人の生き方・生き様・在り方のパターンが

積み重なり、

その経験値の中で、後天的に培われていくもの、

というイメージでしょうか。

 

それに対して、「味」とは、

もっと先天的なもので、その人の生き方がどうであったとしても

その人が「醸し出しているもの」

というイメージです。

 

私は普段、たくさんの人達と向き合う機会に

恵まれていますが、

みんなそれぞれ「味」があるなぁ、と思います。

その「味」を、それこそ「味わう」のが

私の人生の楽しみでもあります。

 

最近、ある企業様の、面白い人のコーチングを

始めました。

 

その人は、50代の方なのですが、

「私、人間が嫌いなんです。

できれば、人と接することをゼロにしたいんです。

一匹狼でこれまでも来ましたし、

これからも、できれば仕事も一人だけで

やっていきたいんです。

周りと交わりたくないんです。関わりたくないんです。」

と、断言されるのです。

 

実際、その人の仕事ぶりは言葉通りのようです。

 

ところが彼の醸し出している「味」は、

まったく逆なんですねぇ、これが。

 

彼の「味」を一言で表現すれば、

「私、人が大好きです!」

となるんです。

 

時々その人は、ふとした瞬間にニッコリと

微笑むのですが、

その微笑みが、実にいい。

人なつっこさを絵にしたような、

まるで純粋な幼子がそのまま大人になったような

そうそう、まるで赤ちゃんのような

可愛らしいお顔になるんです。

一瞬ですが。

 

そして彼の全身からも時折、

「ねぇねぇ、一緒に遊ぼうよう〜〜!」

と子供がおねだりをするかのような

愛らしい空気感が醸し出されるんです。

 

もちろんそれをご本人は

まったく自覚していません。

 

しかしだからこそ、それがその人の天然。

その人の「味」なんです。

 

前回まで、「生まれ持った強み」というテーマで

記事を書かせていただきましたが、

この「味」というのも、生まれ持った強みの一種

かも知れません。

(→前回記事)

 

そして、私がコーチングで大切にしているのは、

その「味」をいかに活かすか?

ということでもあります。

 

すべての人に「味」はありますが、

その味を活かしながら生きている人と、

その味を消してしまう方向に生きている人と

どちらかです。

 

残念ながら、味を消す方向の生き方をしてしまっている人は

多いです。

特に、組織のリーダーとなる人達は、

「リーダーらしい自分であろう」

と思うあまりに、自分の「味」を消してしまっているケースが

実に多いです。

 

どうせリーダーをやるのであれば、

「リーダーらしい自分」ではなく、

「自分らしいリーダー」になればいいんですけどね。

 

その「自分らしいリーダー」になるための

一つの重要視点が

「その人の味をいかに活かすか?」

なんですね。

 

そして、以上は「個人」という視点で申し上げましたが、

これは「組織」そのものにも言えることです。

つまりは、

「組織にも、その組織ならではの味がある」

のです。

 

その組織だからこそ持ち合わせている「味」を

いかに掘り起こすか?

 

これが私の組織サポート(チームコーチング)の

重要テーマの一つです。

 

ということで、

次回からは、この「味」ということについて

書かせていただこうと思います。

 

つづく