始まり

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じっと私は

成り行きを

観察している。

 

いろんな

エネルギーが

融合したり

分離したり。

 

渦を巻いたり

爆発したり。

 

その中から

一本の細い

エネルギーの筋が

 

スーッと

降りてきた。

 

そして

地上に突き刺さる。

 

轟音と共に、

激しい光の

開放。

 

無数の火の玉

が四方八方に

飛び散っていく。

 

いったいこれは

どうなることか。

 

到底、手に負えない

現象の数々に

私はただ

茫然とするのみ。

 

本当に

観察することしか

できない。

 

気がつくと

私以外にも

この成り行きを

観察している人達が

いる。

 

私の周りに

集まってきている。

 

皆、茫然と

している。

 

「これも

自然の流れと

言うのか・・・」

 

一人が呟く。

 

「ここまで

頑張ったんだけどな」

 

さらに一人が。

 

努力というのは

このように

一切、報われない

ことがある。

 

どれだけ着実に

積み上げても

それでも

一気に崩れ去る

こともある。

 

そんな時は

茫然とするしかない。

 

しかし私達は

それでも

知っている。

 

この激しい現象の

最中にも、

次の新たな芽が

生まれつつある

ことを。

 

その芽をこそ、

私達は

探し出そうと

ここに

集まってきた。

 

「あるのか?

本当に・・・」

 

「あるさ。

我々がそれを

信じなきゃ」

 

「そう、

きっとあるさ」

 

皆が口々に

呟き合う。

 

希望というには

あまりにも

遠い

希望の光。

 

絶望という

言葉が

あまりにも軽く

響くこの惨状。

 

それでも

やはり

我々は

探し出さねばならない。

 

そうでなきゃ、

ここまで来た

意味はない。

 

「行くか?」

 

「そうだな」

 

「行くか・・・」

 

そろりと

少しだけ進む。

 

惨状は

さらに激しさを

増している。

 

それでも

さらに

そろりと進む。

 

今はこれしか

できないが、

 

たったわずかでも

できることを

するしか

ないではないか。

 

・・・。

 

思い出すな。

 

これが

始まりだったな。

 

つづく

 

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