コーチング

脳で感知できる世界は、とても狭い世界

「実在」と「イメージ」とは

まったく異なるものです。

 

「イメージ」とはあくまでも私達の頭の中で

創り出したもの。

悪い言葉で言えば、妄想と同じです。

 

しかし「実在」は、実在と言うだけあって

実際にそこに存在するものです。

 

ただし、私達が生きているこの3次元の

現実世界の事象としては、

捉えることができない、と言うだけのことです。

 

私達が現実世界で捉えているものはすべて

私達の脳で捉えているものです。

 

視覚・聴覚・体感覚。

つまりは五感と言われるものはすべて

脳という機関を通じて捉えているものです。

 

しかし、私達の脳で感知できる周波数は

非常に限られています。

脳で感知できないものの方が

圧倒的に多いのです。

 

脳では感知できないが、

確かにそこに存在しているもの。

それが「実在」と私が呼ぶものです。

 

それは霊感ですか?

と訊かれることもありますが、

霊感ではありません。

 

もちろん、幽霊というものも

脳では普通は感知できない周波数だと

思いますので、実在の一つかもしれませんが、

私自身は幽霊を感知することはありませんので、

よくわかりません。

 

もし、幽霊というものがあっとしても、

それは恐らく、エネルギーレベルとしては

かなり弱いものだと思いますので、

私が感知できないだけかもしれません。

 

私は、エネルギーレベルの高い実在を

感知することができます。

エネルギーレベルの高い実在というのはつまり、

人の「真本音」です。

 

そしてそういったエネルギーレベルの高いものを

感知する能力は、

本当は誰もが持っています。

しかし、

使わないだけなのです。

使い方を知らない、とも言えますが。

 

「真本音」とは圧倒的にエネルギーの高いものです。

ですから、「実在」を感知する能力がつけば、

「真本音」の存在感は

否が応でもわかります。

 

本当の意味で、

「実在」を感知するためには、

脳を使わずに感知する力を高めることです。

その力が伸びれば、

脳を使わずに物事の本質をつかむことが

できるようになります。

 

脳(五感)を使って捉える物事が、

いかに薄く、淡いものであるか、ということも

まざまざと知ることになります。

 

その能力は、

きちんと訓練をすれば誰もが伸ばすことが

できますが、

そのためには、まずは

五感(脳)を使って実在を捉える、というのが

ファーストステップです。

 

二人コーチングの場で、

弓江さんの脱皮をサポートするにあたり、

弓江さん自身に、古い皮がどうなっているかを

見てもらったり、

木村さんに、その皮をもぎ取ってもらったりしたのは、

「実在」を感知する力を伸ばす訓練の一つ

でもありました。

 

弓江さんも木村さんも

かなり的確に「実在」を捉えていました。

 

そして実際に、

弓江さんは「脱皮」を果たしました。

(→前回記事)

 

弓江さんは、

「正義」という名の古い皮を

手放しました。

 

そこから解放されたのです。

 

結果的に、

弓江さんの古い皮は私が受け取りました。

私は腰がドーンと重くなるのを感じました。

そして、言いようのない苦しみを覚えました。

 

この苦しみは、

無意識に弓江さんが味わい続けていた

ものです。

 

私はすぐに、その古い皮を

浄化しました。

 

今はコーチングのその場で

同時並行で浄化できますが、

以前の私にはそれができませんでした。

 

一日のコーチングが終わって

家に帰ってから必死に浄化をする、

という毎日が何年も続きました。

 

時には、浄化が

次の日の朝までかかることもありました。

いえ、

何日もかかることもありました。

 

浄化力というのも

訓練によってかなり高まります。

 

今はその場で大半のものは浄化できますので、

随分と楽になりました。

 

私は、コーチには、

・「実在」を感知する力

・「実在」に変化を起こす力

・「実在」を浄化する力

が必要であると思っています。

 

そういった力を持ったコーチを

養成するというのも

私の使命の一つだと思っています。

 

つづく

 

古い皮を脱ぎ捨てずして、真の成長はあり得ない

「脱皮」とは、

「実在」と「現象」の一致度合い、

つまりは「一貫性」が

一気に高まること。

それはイコール、

「真本音度合い」が一気に高まること

でもあります。

 

その「脱皮」をサポートするためには

あえて、

「実在」と「現象」の不一致部分を見つけ、

そこに刺激を入れ、

より「不安定」にさせることです。

 

不安定は「自然崩壊」を生み、

これまでの自分が崩壊するからこそ

「脱皮」は成されます。

 

それを、チームとして起こすための

戦略を見出そう、というのが

今回の木村さんと弓江さんの二人コーチングの

目的です。

(→前回記事)

 

その目的を果たすために、

まずは私は木村さんと弓江さんの

悪い意味での不安定さを

抜きました。

二人の自己満足的な「気合い」を

抜いたのです。

(→【自己満足の気合いでは、何も見えなくなる】)

 

話は、そこからの続きとなります。

 

私は弓江さんに問いました。

 

「弓江さん、

今、改めて思うことを教えていただきたいのですが、

今の木村リーダーの状態はいかがですか?」

 

「はい。

木村リーダーご自身がすでにほぼ

脱皮しかかっていると思います。」

 

「何%くらい脱皮できていると

思いますか? 直観的に。」

 

「80%くらいでしょうか。」

 

弓江さんの言葉は

スッと私の中に入ってきますから、

その通りなのでしょう。

 

「では、木村さん。

木村さんからご覧になって、

今の弓江さんの状態はいかがですか?」

 

「弓江も私と同じく、

80%くらい脱皮しかかっていると

思います。」

 

この言葉も

スッと伝わってきます。

 

「わかりました。

では、お二人にお訊きしますが、

お二人の脱皮は、チーム全体の脱皮と

同時並行で行われるべきものですか?

それとも、

まずはお二人が脱皮することで、

それがチームの脱皮につながるという

順番ですか?」

 

「それは後者ですね。」

とすぐさま木村さんが答え、

弓江さんが大きく頷きました。

 

「では、

お二人の脱皮は、

今この場で行なわれるべきですか?

それともこの場では、刺激のみを与え、

今後の日常業務の中で

行なわれるべきですか?」

 

「今もうここで

脱皮しちゃいたいですね。

そのための今日のこの場だと思います。」

と木村さん。

 

私が抱いていたもともとの順番と

一致しています。

 

「わかりました。

では、まずはそれを最初の目的として

この二人コーチングを進めましょう。」

 

私がそう宣言したその瞬間に、

私は弓江さんの脱皮が

一気に進んだ感覚を得ました。

 

ほぼ99%、

脱皮が完了したのだと

直観しました。

 

「おっ、弓江さん、

もうほぼ脱皮が完了しそうですね。

わかります?」

 

「はい、何となくわかります。」

 

「弓江さんの今回の脱皮は

何からの脱皮でしょうね?

弓江さんが脱ぎ捨てようとしている古い皮とは、

何でしょう?」

 

「う〜ん、何でしょうか?」

 

「まず、今脱ぎ捨てようとしている

古い皮の実在はわかります?」

 

「あっ、わかります!

なんか、ほとんど脱ぎ捨てることが

できているのですが、

左足に脱ぎ捨てた皮がまだ

引っかかっているようです。」

 

これは単なる弓江さんのイメージ

ではありません。

あくまでも彼女は、

実在を感じ取っているのです。

 

ですから、彼女の言うことは

私にもよく「実感」できます。

 

私も弓江さんの左足に

違和感と重さを感じ取っていたのです。

 

これが「イメージ」と「実在」の

違いです。

 

「実在」とはあくまでも、

本当にそこに実在しているものです。

 

真本音度合いが高まれば、

誰もが当たり前のようにそれを

感知することができるようになります。

 

「弓江さん、

その左足に引っかかっているその皮は

何でしょう?」

 

彼女はじっと自分の左足に

意識を向けていました。

 

そしておもむろにつぶやきました。

 

「あぁこれは、

私の“正義”ですね。」

 

つづく

 

自己満足の気合いでは、何も見えなくなる

「あぁ、お二人とも

だいぶ不安定になっていますね。

それでは、良い判断が

できないでしょう。」

 

木村さんと弓江さんの2回目の

二人コーチングの冒頭で、

私はそのようにお伝えしました。

(→前回記事)

 

二人にとっては

予想外の一言だったようです。

 

少しの間、二人は無言でした。

私の言葉に戸惑っていたのでしょう。

 

冷静な口調で弓江さんが

言いました。

「私達は今、不安定ですか?

私にはその自覚がありませんでした。」

 

木村さんも口を開きました。

「むしろ、いい状態だと

思っていましたが・・・。」

 

「いい状態、だと感じていた

理由はわかります?」

 

「すごくエネルギーが湧いてきています。

モチベーションが高いです。

集中力もあります。

前向きですし、絶対にやってやろうという

意志が高いです。

今日のこのコーチングも楽しみで

しょうがなかったです。」

 

「弓江さんはいかがですか?」

 

「そうですね。木村リーダーとほぼ同じです。

これまでとは少し違うレイヤーの意識に

自分はいるという気がしていました。」

 

「なるほど。

では、一つ今から問いをお二人に投げますので、

直観的にお答えいただけますか?」

 

「はい。」

 

「お二人の真本音は今、

どこにいますか?」

 

最初に弓江さんが答えました。

 

「あっ、なんか、私から離れている

気がします。

私の後ろの上の方、3mくらいの

ところにいるような気がします。」

 

「木村さんはいかがですか?」

 

「私も離れている気がします。

私は50mくらい後ろの方にいます。」

 

「では、その真本音の位置から、

今ここにいるご自分自身を

観察してみてください。」

 

二人は言われた通りにしました。

 

「どうです?

どのように見えますか?」

 

最初に木村さんが

言いました。

 

「なんか、自分の全身から炎が

上がっています。

その炎の中にいます。

でも、炎の中なので、外の世界がきちんと

見えていない気がします。

自己満足的な・・・。」

 

次に弓江さん。

 

「何でしょうか。

自分は、自分の内側のみを見ている

ような気がします。

外に意識を向けていません。

自分のエネルギーを楽しんでいますが、

それだけのようです。

私も自己満足しているのでしょうか。」

 

「お二人は、

新規事業プロジェクトのメンバーが

減ったことが、本当に嬉しいのですね。

なぜなら、直観的に

これで調和性の高いチームになると

思えたから。

そして、これで実績も上がるはずだと

思えたから。

さらに、人数が減らされたのに、

計画以上の実績を上げることができれば、

我ながら凄い!と思えたのではないですか?」

 

「その通りです。」

と木村さん。

 

「それはそれで、問題はありません。

でも、その直観が嬉しくて、

逆に意識が自己満足的な方向に

向かってしまった。

と同時に、

言った以上は、必ず実績を上げなければ!

と気合いを入れた。

気合いを入れること自体は大事ですが、

それは自己満足的な気合いですね。」

 

二人の心がギュギュッと

固くこわばったのがわかりました。

 

「まぁでもそれも人間でね。

そういった心になることをやめてください、

と言う話ではないのですよ。

大事なのは、

そういったご自分を真本音の視点から

客観的に見て、どうしたいか?ですね。」

 

「いやぁ、自己満足は嫌ですね。」

と木村さん。

 

「私は自己満足をするような人間ではないと

これまで思っていましたが、

結構しちゃうのですね。」

と弓江さん。

 

「自己満足するご自分を責める必要もありませんし、

否定することもありません。

それをあるがままに見つめることが大事です。

では、そういった自己満足的な自分に対して

どうしてあげたいですか?」

 

木村さんが言いました。

「私は自己満足な自分も可愛らしいと

思います。

ただ、その自分の中に閉じこもっているのは

嫌ですね。

そこから出たいです。」

 

次に弓江さん。

「私もなんか、こういう自分がいたのだと

思うと、ちょっと自分を可愛らしく思います。

でも、その中にはいたくないですね。」

 

「じゃあ、どうしましょうか?

その真本音の視点から、今の自分自身に

声をかけてあげてください。」

 

「まぁそんなに力まずに。

やるべきことをしっかりと見出して、

一歩ずつ着実に進もうよ。」

と木村さんが自分自身にメッセージしました。

 

弓江さんは、

「気合い入れ過ぎじゃない?

そんなことでは、本質を外してしまうよ。

もっと楽に力を抜いて進もうよ。」

とメッセージ。

 

その瞬間、お二人から一気に

肩の力が抜けた感覚が伝わってきました。

 

「気合い」が抜けたのです。

 

「では、お二人とも、

真本音を自分の体の中に

戻してあげてください。」

 

二人がそうすると、

その瞬間に、場の空気感が

一変しました。

 

二人の目が「自然体」に

戻りました。

 

そして、まっすぐに私を

見つめてきました。

 

見つめていますが、それは

とても軽やかです。

心地よい風が吹いてくるようです。

 

この瞬間、前回の二人コーチングと同じく、

私達は、「一つ」になっていました。

 

「ようやく元に戻れましたね。

では、コーチングを始めましょう。」

 

つづく

 

直観とは、準備があってこそのもの

私は木村さんからの依頼で、

新規事業プロジェクトチームに

もう一歩深く関わることになりました。

 

そして弓江さんとの面談によって

弓江さんという社内コーチを育成しながら

チームに関わる、という方向性を

見出しました。

(→前回記事)

 

目的は、

チームの「脱皮」を果たすことで、

当初の売上目標の1.5倍を達成する

こと。

それを、木村さんと弓江さん中心に

推進するサポートをすること。

 

そのために私は

具体的に何をすればよいでしょうか?

 

私は、組織(チーム)を活性化したり

育成する上で、必ず

戦略を立てます。

 

戦略とは、

最も楽な道を見出す

ことであると私は考えています。

 

つまり、

目的を果たすための

最も楽で効果的なサポートの道筋は何か?

を、私はあらかじめ見出します。

 

私はそれを、

「組織(チーム)活性化戦略」とか

「組織(チーム)育成戦略」

と呼んでいます。

 

それを基本的な道筋として実行に移しますが、

もちろん戦略通りに物事が進むかどうかは

わかりません。

しかし、

物事に柔軟に対応するためには、

その基本線となる道筋が必要です。

 

基本があるからこそ、

応用が効き、

柔軟性が発揮できるのです。

 

それは一回一回のコーチングにおいても

言えることです。

 

私は仕事柄、

私以外のコーチやコンサルタントの方に

お会いする機会がありますが、

彼らのあまりの準備の少なさに

びっくりすることが、正直あります。

 

彼らは「その場のアドリブや臨機応変さが

大事である」と言うのですが、

本質的なアドリブとか、臨機応変さと言うのは

しっかりとした準備があってこそのものであると

私は思います。

 

最も楽な道は何か?

その答えを、自分の中で確信を持てるまで

準備をする。

その上で、現場に入る。

だからこそ、現場では

自由になれる。

直観も大いに働く。

・・・それは、当たり前のことであると

私は思っています。

 

私は、

木村さんの新規事業プロジェクトチームの

活性化戦略を自分なりに明確にしたかったので、

再び、木村さんと弓江さんの

二人コーチングをすることにしました。

 

正確に言えば、

木村さんと弓江さんが

もう一歩、「脱皮」することが、

真の活性化戦略を立てる上では、

重要だと思ったのです。

 

言葉を換えれば、

もう一歩「脱皮」した木村さんと弓江さんと共に

活性化戦略を見出したいと

思ったのです。

 

これ自体も、

活性化戦略の一端と言えますが。

 

木村さんと弓江さんの

真本音レベルの相性は

実にいい。

一人一人を個別でコーチングするよりも

二人同時にコーチングした方が

恐らく数倍の効果が上がるでしょう。

 

お二人もそれを自覚されていたようで、

なかなかに凄い気合いで、

二人とも私の前に現れました。

 

つづく

 

コーチングより、指導してください

木村さんとお話しした後、

(→前回記事)

私は少し弓江さんともお話をしたく

なりました。

 

あえて1対1で

お話ししたいと思いました。

 

弓江さんはすぐに時間を

取ってくださいました。

 

さっそく私は本題に入りました。

 

「弓江さん、突然の展開でしたね。

プロジェクトメンバーが半分に縮小されることになり、

今はどんなことを感じていらっしゃいますか?」

 

「木村とも話していたのですが、

実はそれほど驚いたわけではありません。

何となくこうなることは

わかっていたような気がします。」

 

「特に気負いもなさそうですね。」

 

「はい。

むしろ、スッキリした気分です。

今の縮小されたメンバーだけの方が

正直言いまして、やりやすいです。」

 

「木村さんは、これで生産性が

上がるのではないか、と言われてました。」

 

「私もそう思います。

もちろん、残されたメンバーは未熟です。

能力も経験も高めなればいけませんが、

それはさほど難しいことのように

思えません。」

 

やはり弓江さんは

今回のこの展開をニュートラルに

受け止めているようです。

 

しかも私は彼女から

一種の覚悟のようなものを感じました。

 

「何となくですが、

今の弓江さんからは覚悟のようなものを

感じるのですが、自覚ありますか?」

 

「覚悟ですか・・・。

それほど大仰なことではないと思いますが、

私は、たけうちさんがおっしゃったように

チームにおけるコーチとしての在り方を

貫こうと思っています。」

 

「具体的にはどういったことに

注力されるのですか?」

 

「まずは、木村リーダーのサポートです。

彼が、これまで以上に本来の彼を出せるように、

私は彼の隣で寄り添います。

そして、メンバー一人一人の育成です。

私自身が前線に立つというよりも、

前線に立つ彼らを育成するということが

私の役割だと思っています。

彼らの成長が、すべてを決めますね。

そう思っています。」

 

一言一言が

とても腑に落ちる感覚がありました。

すべて真本音で語っているようです。

 

「私は木村さんから、

もう一歩深くプロジェクトに関わってほしい

という依頼をいただきました。

チームメンバーにも直接関わってほしい、と。

弓江さんはどう思いますか?」

 

「ぜひお願いします。

私はコーチとしての在り方をしたいと

言いましたが、

そんな私自身がまだまだ未熟です。

たけうちさんにお願いしたいのは、

私を指導してほしいということです。

私をコーチングするというよりも、

私のメンバーへの対し方を現場でご覧いただき、

私を厳しく指導してほしいのです。」

 

なるほど。

 

この一言を聴くために、

私は弓江さんとお会いしたのだなと

思いました。

 

「弓江さん、直観でお答えください。

今のチームの力を数字で表すと

いくつになると思いますか?」

 

「・・・。 7、です。」

 

「では、チームの本来の力を

数値で表すと?」

 

「・・・。 あぁ、大きいですね。

2,470という数字が浮かびます。」

 

「面白い数字ですね。

しかし、7 と 2,470 ですか。

まだ今のチームは、まったく本来の力を

発揮していないのですね。」

 

「そうですね。

確かに、彼らの力はまだほとんど

眠ったままです。

脱皮しなきゃ、ですね。」

 

「その脱皮、弓江さんが起こしますか?」

 

「えっ? 私にできますか?」

 

「はい。

当初は私が直接皆さんの脱皮のサポートをしようと

思っていましたが、

弓江さんが彼らの脱皮をサポートする、

ということを大切にしていこうかな。」

 

「もしそれが可能であれば、

ぜひお願いします!」

 

大事な方向性が

見つかりました。

 

つづく

 

人は、未来とも調和する判断ができる

木村さんと弓江さんの二人コーチングから

約1ヶ月経ったある日。

(→前回記事)

 

私は、平井さんに

「ご相談があります」

と呼ばれました。

 

平井さんは言われました。

 

「実は、

新規事業プロジェクトチームの

大幅縮小を考えています。」

 

「えっ?」

と私は驚きました。

 

「どうしても、

新規事業プロジェクトの主要メンバーを

もとの部署に戻す必要が生じました。」

 

話を聴けば、

何か問題が起きたということではなく、

これまでの既存事業の業績が

予想以上に伸びている、とのこと。

 

お客様のご要望にお応えするために、

どうしても人員の補強をしたい、

そのために、新規事業プロジェクトを

大幅縮小することは可能か?

というご相談でした。

 

ただし、平井さんとしては、

新規事業プロジェクトも成功させたい、

という気持ちも強く、

プロジェクトの人数を半分に減らしても

プロジェクトを続行することは可能だろうか?

そして、人員半分でも、

プロジェクトの当初の計画(目標)を

達成することは可能だろうか?

ということについて、私の見立てを聴きたい

ということでした。

 

「木村さんにはこのお話はされたのですか?」

 

「はい、もちろんしました。」

 

「彼はなんと?」

 

「実は驚いているのですが、

大丈夫です、と。

当初の目標も計画も変えずに行きます、と。

そう言うのです。

だから、逆に心配になりまして。

実際のところどうなのか?と

たけうちさんにお訊きしよう思ったのです。」

 

なるほど、そういうことか。

 

「弓江さんもご存知ですか?」

 

「はい。

弓江も木村とまったく同じことを

申しました。

正直、私は少しびっくりしています。」

 

「ちなみに、

実際には、どのメンバーをプロジェクトから

外すのですか?」

 

そのメンバーを聴いて、

私は合点がいきました。

 

この時、私は初めて、

1ヶ月前に、木村さんと弓江さんの二人が

なぜチームのペア編成を組み替えたのか?の

真の意味を知りました。

 

あの時の編成の組み替えが、

ここで生きてきたのです。

 

実は、あの二人コーチングの後、

木村さんは早速、ペアの組み替えを

しました。

 

すると、当初、不調和を起こすのではないか

と予測していたペアが

想定外の調和を見せ、みるみるチームの

調和性も上がりました。

 

チームメンバーも

「非常に仕事がやりやすくなった」と

喜び、チーム全体の活気は明らかに

高まりました。

 

しかもたった1ヶ月ですが、

その中で若手社員が急成長し始めました。

これまでどちらかと言えば、

先輩社員についていくだけ、という人が

主体的に動くようになったのです。

 

木村さんが懸念されていた

「真剣な人とそうでない人の差が開いている」

という問題。

その「真剣でない」と思われていた人達が

主体的になったのです。

 

ペアを組み替えただけで、どうしてこうなるのか?と

「まるで魔法を見ているようです」

と木村さんも弓江さんもおっしゃっていました。

 

でもそれは紛れもなく、

二人で決めた編成だったのです。

 

直観で決めた編成です。

 

ただ、私には

こうなることは何となく予測がついていました。

 

なぜなら、「相性」とは

反応本音レベルの相性と

真本音レベルの相性が

あるからです。

 

二人コーチングの場で、

木村さんと弓江さんが発想したペアは、

思考レベルではNGだったのですが、

それは二人が、

反応本音レベルでの相性を見ていたから

でした。

直観レベルでOKと思えるということは、

恐らく、真本音レベルでの相性が

良いのだろうな、と

私は予測していました。

 

そして、本当に

そうだったのです。

 

真本音レベルの相性の度合いのことを

私は

『調和性』

と呼んでおり、

二人が新たに編成し直したペアは

その調和性に富んでいました。

 

そして、

真本音レベルでの発想は、

その後の「想定外の現実」に対しても

調和をしていきます。

 

平井さんの話によると、

新規事業プロジェクトチームからは

主要メンバーが抜けるということ。

ということは、これまで「真剣でなかった」

若手社員中心のチームになるということです。

 

しかし、この1ヶ月の若手社員の成長ぶりを

見ていますと、

確かに、木村さんが「大丈夫です」というのも

私は理解できました。

 

1ヶ月前の二人コーチングによる

新たなペア編成が成されていなければ、

この事態に対応することは

難しかったでしょう。

 

私は平井さんに申しました。

 

「私も、木村さんと弓江さんの意見と

同じです。

彼らはきっと、やりますよ。」

 

それを聴いた平井さんの表情を

私は忘れることができません。

 

本当に嬉しそうな彼のお顔を拝見して、

ますます、

「これはいけるな」と

私は確信しました。

 

そしてその後、

新規事業プロジェクトは、

若手中心のチームとして本当に

目標達成を遂げることになります。

 

つづく

 

刹那的に生きることがベストの時もある

人や組織が「脱皮」をする時、

平常時とは真逆の原理原則が

働くことがあります。

 

その一つが、

『不安定をどんどん自分に与え、

しかも無茶をするとよい』

ということでした。

(→前回記事)

 

さらに、原理原則をご紹介しましょう。

 

それは、

 

『未来のことは考えない。

刹那的になるとよい。』

 

ということです。

 

脱皮時に、未来のことを発想をしても、

真本音の発想は、

一つも出てきません。

 

一つも、です。

 

たとえその時に「これは良いアイデアだ」と

思ったとしても、

脱皮を終えた後で振り返れば、

ほぼ間違いなく、

「どうでもいいこと」に思えてきます。

 

脱皮の時というのは、

私達は、脱皮そのものに対して

必死になります。

それ以外のことには、

エネルギーをかけないようになります。

ある意味の、省エネです。

 

特に、未来の発想に関してのエネルギーは

ほぼ、ゼロになります。

 

そんな状態での発想は、

それこそ悪い意味での刹那的な発想に

過ぎなくなります。

 

むしろ私は、

脱皮時における未来発想は、

すべて「捨てるべき発想です」と

断言してしまうことも多いです。

 

ですので、そういったことはやめて、

「今この場をこなすこと」

のみを考えればよいのです。

 

前回、私は

「脱皮時こそ、自由発想しよう」

ということを書かせていただきましたが、

その自由発想とはあくまでも、

「今、どうするか?」

ということに関する自由発想である

ということになります。

 

要するに、

「今」

に集中するのですね。

「今のみ」

に集中するのです。

 

これが、脱皮時における原理原則の

二つ目です。

 

さて、

原理原則の3つ目をご紹介します。

 

これについては、

木村さんと弓江さんの二人コーチングの場面に

戻りましょう。

 

私はお二人に脱皮についての解説を

しました。

その上で、次のように問いました。

 

「この二人コーチングの真の目的は、

これから脱皮を迎えようとしている

新規事業プロジェクトチームに対して、

何ができるか?

何をしてはならないか?

を発想することだとわかりました。

そんな視点で、

お二人から何かアイデアはありますか?」

 

二人はじーっと考えていましたが、

弓江さんが口を開きました。

 

「せっかくですので、

私は脱皮をするならとことん脱皮をした方が

よいと思うのです。

ですので、新規事業プロジェクトの理念とか

方向性とか、改めてゼロベースで考え直すというのも

面白いと思います。」

 

これは非常に素晴らしい意見ですが、

実は、

「ゼロベースで考え直す」

というのは、平常時にこそすべきことだと

私は思っています。

 

私は、本当のリーダーとは、

常に、あらゆることをゼロベースで発想し直す人である

と思っています。

ゼロベースからの発想は

非常に意義深いものが多いです。

しかしそれは

平常時にこそ、毎日続けることです。

 

では、脱皮時はどうでしょう?

 

脱皮時の原理原則の3つ目は、

 

『物事を深く考えない。

表面上のことだけに目を向ける』

 

ということなのです。

 

つづく

 

完全に意図を手放せば、素晴らしい展開が待っている

私はいつも、かなり綿密に

コーチングの準備をします。

 

今回のコーチングは、何の目的のために

何をすればよいか?

 

私は、どのような問いを投げ、

どのようなメッセージをプレゼントするか?

 

Aさんのコーチングがある前の日に、

私は以上のことを頭だけで考えるのではなく、

実際にシミュレーションします。

 

まるで目の前にAさんがいるかのようにして

前の日にAさんのコーチングを自分の中で

完了させてしまうのです。

 

それはイメージトレーニングに近いものが

あるかもしれませんが、

実はこれは、イメージトレーニングとは

本質的には異なります。

私はそれを、『実在コミュニケーション』と

呼んでいますが、

これについてはいずれ詳しく書かせていただくことに

なると思います。

 

なぜ、これほどまでに綿密な準備を

するのか?

 

その理由はたった一つです。

 

私の中から、すべての意図を手放すため

です。

 

これだけ綿密な準備をして行なったことを

私は、実際のAさんのコーチング時には

すべて手放します。

 

実は、準備をしっかりすればするほど、

簡単に、そして完全に、

手放すことができるのです。

 

意図を手放すために

準備するのです。

 

すると、実際のコーチングの場は

必ずと言ってよいほど、

私の意図を超えた、想像を超えた

素晴らしい展開になります。

 

意図を手放すということは、

完全に自由な状態になります。

 

私は、何物にも捕らわれない

完全に自由な状態として

クライアントさんと向き合うのです。

 

ですから、様々なことをキャッチしたり

クライアントさんと「一つ」になることも

できます。

 

これは私だけが持っている能力ではなく、

すべての人が私と同じようにすれば

同じ能力を発揮することができるでしょう。

 

木村さんと弓江さんの二人コーチングは、

そういった意味で、

完全に私の想定外の展開になっています。

しかしそれはつまり、

私が望んでいた展開です。

(→前回記事)

 

コーチングは、想定外になってこそ

コーチングです。

 

コーチの意図の範疇でのやりとりは、

コーチングとは言いません。

 

自分の意図の範疇でコーチングする人のことを

コーチとは言いません。

 

想定外の展開の中でようやく私は、

今回の木村さんと弓江さんの二人コーチングの

本当の目的に気づくことができました。

 

すべての雲が晴れた

感覚でした。

 

で、またもや思ったのです。

ここからが、この二人コーチングの

本番の始まりだ、と。

 

私はお二人に申しました。

 

「このままでは、新規事業プロジェクトが

成功しない、と3人ともが思っている

真の理由がわかりましたよ。」

 

「何ですか?」

弓江さんと木村さんの目が輝きました。

 

「新規事業プロジェクトは

ここまで順調だったということです。

実は、何の問題もなかったのです。

そして、ここまで順調だったからこそ、

この場があるのです。」

 

「・・・???」

 

つづく

 

一つになることで、すべてがどんどん晴れ渡っていく

木村さんと弓江さんの二人コーチング。

このままでは新規事業プロジェクトはダメになる、

という二人の危機感が

実は、根底にあることが明らかになりました。

そして、それを打開するためには、

根本的改革よりも、もっと簡単な何かを変えることが

重要である、

ということがわかりました。

(→前回記事)

 

「で、その方策は、

そろそろ弓江さんの中から

出てきそうですよ。」

 

「えぇ? 私からですか?」

 

私達は「一つ」になっていました。

そうなるともう、次に誰から発想が出るか?が

手に取るようにわかるのです。

 

私は弓江さんから、

「答えがわかりました」という空気感を

受け取っていました。

だから弓江さんに振ったのです。

 

「弓江さん、まずは表面的なことでよいです。

新規事業プロジェクトチームに関して、

何に違和感がありますか?」

 

「そういうことでしたら、

さっき木村リーダーが言われたことが

とてもしっくりきます。

つまり、真剣な人とそうでない人の差が

出始めているということです。」

 

「それは、弓江さんも感じるのですね。」

 

「はい、感じます。

さきほど木村リーダーがそう言われて

その通りだ、と思ったんです。」

 

「ではなぜ、真剣な人とそうでない人の差が

広がっているのでしょうか?

木村リーダーのリーダーシップに問題あり、

ということではなく、もっと表面的な問題は

ありませんか?」

 

しばらく弓江さんはじっと考えていました。

そして、ハッと頭を上げました。

 

「ペアが良くないです。」

 

弓江さんの説明によると、

新規事業プロジェクトは多くの場合、

二人ずつのペアを組んで

仕事に取り組んでいるようです。

 

その組み合わせが良くない、と

弓江さんは言っているわけです。

 

「今のペアは木村さんが

お考えになったのですか?」

 

「はい、そうです。」

 

「どのような視点から考えられたのですか?」

 

「2点から考えました。

一つは、能力面でお互いに補完し合えるかどうか?

ということ。

もう一つは、お互いに気が合いそうかどうか?

ということです。

私は、ベストの組み合わせだと思っていたのですが・・・。」

 

すると弓江さんが言いました。

「確かに私も、いい組み合わせだなと

思っていました。

でも、今ふと、違和感が出たんです。

なぜでしょうか。」

 

私は問いました。

「木村さん、今ここで改めてペアの組み方について

考えると、どんな感覚がします?」

 

「不思議なことに、

私も違和感しか出てきません。

なんででしょう?

理由がわかりません。」

 

この一言で私は

合点がいきました。

 

すべての意味がわかった気が

したのです。

そして、今回のこの二人コーチングの

真の意味もわかりました。

 

ようやく私の心の中が

スッキリと晴れ渡りました。

 

「なるほど、そういうことなんですね!」

 

と、今度は私が叫びました。

 

二人はキョトンとしました。

 

つづく

 

自分の反省点をとても嬉しそうに喋るようになる

「弓江さん、

これまでの木村さんは、リーダーとして

何をし続けてきたと思いますか?」

 

この私の問いかけに、弓江さんは

 

「あぁそうか。

木村リーダーは必死に、

火消しをし続けていたのですね。

大火事にならないように。」

 

と答えました。

(→前回記事)

 

それを聴いた瞬間に、

「なるほど!!」

と木村さんは叫んだのです。

 

弓江さんがびっくりして

木村さんを見つめます。

 

木村さんは、目を爛々とさせ

私を見つめました。

そして言いました。

 

「たけうちさん、

私は何かとんでもない勘違いを

していたようです。」

 

「どういうことですか?」

 

「私はチームのメンバーに成長してほしいと

心から思っています。」

 

「はい。」

 

「そのために、私なりに考えて

あらゆることをしてきました。

もちろん、間違ったこともしちゃいました。

良かったこともありました。

しかし、成果が出たかどうかは別として、

根元がおかしかったということに

今気づきました。」

 

「根元? それは何ですか?」

 

「はい。私は、

私が皆を育ててやる!

と思っていたんです。」

 

「あぁ、なるほど!」

と、今度は弓江さんが言いました。

「それ、すごくわかります。

そこです。私が違和感を感じてたのは。」

 

「そうなんです。

先ほどこのコーチングの場で、

プロジェクトのミーティングの司会を弓江にしてもらう、

ということを決めたじゃないですか。」

 

「はい。」

 

「実は、あの瞬間から、私の頭のどこかでは、

では、どのように弓江を司会者として育てようか?

という思考が始まっていたのです。」

 

「なるほど。それは疲れますね。」

 

「その通りです。

私がすべての人を育てなければならないと

思っていた。

そして私なりにそれをしていた。

そして私なりに、その責任を負おうとしていた。

責任感そのものは大事だと思いますけどね。

で、皆がまずい行動をすると、

・・・いや、まずい行動をとる前から、

火消しに走っていた。

それが私のリーダーシップだったんです。」

 

「なるほど、そういうことですか。」

 

ここで弓江さんが入ります。

「一見、木村リーダーは

みんなを引っ張って行っているように見えますが、

私から見ると、全然進んでいる感じがしなかったんです。

なんか、火消しばっかりしているようで。

問題が起こる前に問題を消す。

それ自体はいいんですけど。

でも、それって本当に木村リーダーのやりたい

チームなのかな?って。

私の知っている、ロックバンドの木村リーダーは

火消しどころか、みんなに油を注いでいる、

というか。笑」

 

「確かに、ロックバンドの時とは

真逆の私ですね。

さっき弓江は、チームメンバーが活きていない理由は

私のリーダーシップとは別の原因があるのでは、

と言ってくれましたが、

やはり私が原因のようですね。」

 

「いや、でも木村さん。

その件に関しては、そうでもないかもしれませんよ。」

 

「どういうことですか?」

 

「木村さんのリーダーシップを根本的に変える

ということよりも、もっと単純で現実的なことを

ちょっとだけ変えるだけで、

一気に好転するような感覚がありますが、

弓江さん、どう思います?」

 

「私も、なんかそう思えます。

答えはわかりませんけど。」

 

「何となく今回のこの二人コーチングは

弓江さんが責め、木村さんが反省する、

みたいな流れが多いですが(笑)、

そんなに深刻にならなくてもいいような

気がしてきましたよ。

木村さんは、メンバーを育てたいのでしょ?」

 

「はい。」

 

「それは大事にしましょうよ。

ただの手法の問題だと思いますよ。」

 

「そういうものですか。」

 

「チームの真本音は、

『全員がチームの代表として

お客様と向き合う』

でしょ?」

 

「はい。」

 

「そういった木村さんの想いを

もっともっと成果として結びつけるために

何をどう変えるか?を見つけるだけでは

ありませんか?」

 

「なるほど。」

 

「で、その方策は、

そろそろ弓江さんの中から

出てきそうですよ。」

 

「えぇ? 私からですか?」

 

つづく

 

なぜ苦しい? その答えは、進まない、から

「進む人」と「進まない人」。

 

今、私達人間の傾向は、

この二つにクッキリと分かれています。

 

どれだけ意識の次元が高くても、

進まなくなってしまった人がいます。

 

逆に、どれだけ意識の次元が低く未熟でも

前に進もうとする人もいます。

 

今の自分がどのレベルにいるか?

ではなく、

進むか? 進まないか?

それこそが、とてつもなく重要であると

私は最近、強く実感しています。

 

人は、進む生き物です。

 

「進む」ということを一つの形として

現したものが、人であるとも言えます。

 

逆に言えば、

進まなくなった人は、もう人ではない、

人としての本質を捨ててしまっている、

と言っても、本当は言い過ぎではありません。

 

それを最もよく理解しているのが

私達の「本能」です。

 

私達の「本能」は、進むために存在しています。

ところが、

進むことを放棄してしまうことで、

私達は、本能的に、自分自身のことを

嫌います。

 

自分のことを嫌うことで

大量発生するのが

エンティティです。

 

「進む」と言ってもそれは

苦しいことではありません。

 

私達人間は、

川の流れに身を委ねているような

存在です。

 

流れに身を委ねれば、

自然に進んで行くのです。

 

むしろ、進むのを放棄するということは、

川の流れに逆らいながら、

その場に必死に留まろうとする行為です。

その方が間違いなく不自然ですし、

苦しいのです。

 

しかし、にも関わらず

止まってしまう人がいます。

 

本当は、進むことこそが気持ちが良いのに、

今の自分に執着しすぎてしまっているのです。

 

流れに逆らうことによって

大量発生するのが

エンティティです。

 

エンティティを大量発生させてしまった人は

そのエンティティが気持ち悪く、

エンティティを消そうとします。

 

自らのエンティティと戦うのです。

 

しかしエンティティとは、

消そうとしたり、戦おうとすることで

逆に反発するかのように増大します。

 

その負の循環から

抜け出せなくなります。

 

西畑さんはその状態にあり、

その西畑さんのエンティティを

木村さんは受け取ってしまっていました。

 

エンティティから解放されるための手段は

ただ一つ。

そのエンティティを、愛することです。

 

それにより、

エンティティは浄化されます。

 

以前にこのブログでも書かせていただきましたが、

「愛」とは行為ではありません。

 

「愛」とは、エネルギーそのものです。

 

分離しているものが、

一つになろうとするときに自然発生する

エネルギーです。

 

そのエネルギーは誰もが

持ち合わせています。

 

しかしそのエネルギーを実際に

発揮できるかどうかは、

その人が「進む」かどうか?によります。

 

進むのを放棄している人からは

愛というエネルギーは発せられません。

 

進む人は、それだけで

愛のエネルギーは出ます。

そして、

次元を高めれば高めるほど、

そのパワーは2次曲線的に増大します。

 

私は木村さんに、

「木村さん、

その西畑さんのエンティティを

愛せますか?」

と問いました。

(→前々回記事)

 

恐らく、二人コーチングの開始直後の木村さんなら

嫌がっていたでしょう。

 

しかし、弓江さんとの二人コーチングの時間を

過ごすことにより、

木村さんの真本音度合いは一気に

高まっていました。

 

ですから木村さんは何の躊躇もなく

言われました。

「愛せますよ」と。

 

であれば、あとは簡単です。

 

「木村さん、

木村さんの愛は、どこから出やすいと

思いますか?」

 

「・・・そうですね。

右手かな?」

 

「であれば、右手を背中か肩か、

最も苦しい部分に当てることはできますか?」

 

木村さんは左肩の辺りに右手を

当てました。

 

「ここだと思います。」

 

「では、右手から

愛のエネルギーをエンティティに

注いであげてください。」

 

「はい。」

 

ほんの20秒くらいでしょうか、

ふっと、木村さんの全身が軽くなった感覚が

私に伝わって来ました。

と同時に、

「もう終わった気がします」

と木村さん。

 

これでもう、エンティティは

浄化されました。

 

「木村さん、

気分はいかがですか?」

 

「なんか、

すごく全身が軽くなりました。

自由になれた感じがします。」

 

これにより、

木村さんの真本音度合いは

さらにアップしました。

 

つづく

 

自分のことは決してわからない、・・・それが人間かも

人は、

自分のことを理解していません。

 

それは、本当に多くの人達と向き合い続けた中での

私の現場での実感です。

 

いえ、私だって、自分のことを

理解できていません。

 

私は、「セルフコーチング」というものについて

本当に探究をし続けてきました。

ある意味、毎日24時間、セルフコーチングについて

考え、探究し続けている、と言っても

決して言い過ぎではありません。

 

セルフコーチングとは

自分と向き合うことです。

 

自分としっかり向き合うことによって

自分の中にある「本当の答え」を

見出します。

 

そのセルフコーチング力を、

いかにすれば高めることができるか?

を探究し続けてきました。

 

そんな私でも、

何日も答えの見出せなかったことを、

私以外の別の人と5分くらい話すだけで

えっ?とびっくりするくらい意外な答えを

見つけることが、今だにあります。

 

私自身が見つけられなかった答えを

人から指摘されることもあります。

 

その度に思うのです。

 

本当に人っていうのは、

自分のことがわからないのだな、と。

 

いえ、ひょっとすると

「自分のことをわからないように、

わざと創られている」のが

私達人間ではないか、

それは、私達人間にとって、

とても大事な要素なのではないか、

とさえ思います。

 

ですから私はよくお伝えします。

「自分のことをわかったつもりに

ならない方がよいですよ」

と。

 

「自分のことは自分が一番理解できない」

くらいに思っていた方がいいですよ、

と。

 

しかしそれを受け入れた途端に、

人生は、より楽しいものになります。

 

「自分」という理解不能な存在と

ずっと寄り添い続けるのが人生。

その、面白さを実感できるように

なるのではないでしょうか。

 

エンティティとは、

自分のことを理解できない、という意味では

最後まで理解不能のものの一つ

かも知れません。

 

エンティティは

誰にでも、あります。

 

私はコーチングをしていて、

クライアントさんからエンティティを受け取らない

日は、ほぼありません。

 

例えば、

もの凄く、人を大事にされている人の

コーチングをすると、決まって、

人に対する恨みや憎しみや

人を陥れてやろう、という意図に基づいた

エンティティを受け取ります。

 

かと言って、

その人の「人を大事にする」というのが

嘘である、ということではありません。

その人は、本当に

人を大事にされているのです。

 

でも、エンティティは

その真逆のものが発生したりします。

 

これがある意味、

私達人間の面白さなのかも知れません。

 

木村さんと弓江さんの二人コーチング。

その場で、

木村さんが、西畑さんからもらったエンティティと

向き合っている場面に戻りましょう。

(→前回記事)

 

どうやら、木村さんの肩から背中にかけて

西畑さんのエンティティが

張り付いているようです。

 

そのエンティティに意識を向けた時、

木村さんはそれを

「西畑が私にしがみついている」

と表現しました。

 

「その、しがみついている西畑さんは

何か喋っていますか?」

 

と私が問うと、

木村さんは言われました。

 

「お前を引きずり落としてやる。

そう西畑のエンティティは言っています。」

 

つづく

 

これを「幽霊」と言うのかも知れません

エンティティは、多かれ少なかれ、

必ず誰もが持っています。

まったく持っていないという人は

恐らく1%もいないでしょう。

(→【取り憑いているものとは何か】)

 

しかもエンティティとは、

人から人へ伝染する、まるで

風邪のウィルスのようなものです。

「物質である」と言ってもよいでしょう。

 

霊感の強い人は、

これを「幽霊である」と認識するかもしれません。

 

でもその「幽霊」は、

どこかしこに、存在しています。

あって当たり前のものです。

 

そして、何かの「共鳴」が起こることで、

かなり強烈なエンティティが

人から人に乗り移ります。

 

西畑さんから木村さんには

何か強烈なエンティティが移動しやすい、

という傾向にあるわけです。

(→前回記事)

 

その「共鳴」とは恐らく、

反応本音レベルでの二人の共通の

パターンによって引き起こされています。

 

私は以前に西畑さんと一度、

面談をしました。

(→【この人のことは、あきらめよう】)

 

そこで感じたのは、

西畑さんの心の中にある強烈な

「面倒臭い」という反応本音の塊です。

 

それは、

「人生は面倒臭い」とか

「生きることが面倒臭い」という

かなり根本的な面倒臭さでした。

 

こういった人は、

無意識レベルで、「現実逃避」に入ります。

 

常に、「現実逃避」した状態で

生き続けます。

 

それにより、真本音度合いを著しく

減退させます。

 

西畑さんと面談した時、

私はその傾向があまりに強く感じられたので、

西畑さんそのものを何とかしようという方向性を

あきらめたのです。

それよりも、

木村さんをもっと強くすることで結果として

西畑さんに好影響を与えようと

判断しました。

 

一方の木村さんも、

彼の反応本音レベルのクセが強く出ると、

彼は、イケイケどんどんになるか、

逆に、ウジウジした引きこもり的になるか、

その両極端を行き来していました。

そうなっている時の彼は

「現実逃避」の塊であると言ってもよいでしょう。

 

つまりその「現実逃避」の生き方に関して

西畑さんと木村さんは「共鳴」をしてしまい、

西畑さんの生み出したエンティティは

木村さんに乗り移っていく、

という現実を引き起こしていたのでしょう。

 

私はこういったこともすべて

この二人コーチングの場で、

木村さんにご説明しました。

 

「かなり納得します」

と木村さんは言われました。

 

西畑さんの「現実逃避ぶり」を

ある意味最もよくわかっていたのは、

木村さんだったかも知れません。

 

そして今、

木村さんの背中に、わずかですが

西畑さんから移ってきたエンティティが

張り付いているようです。

 

彼はそこに意識を向けました。

 

「どうですか?

そこに意識を向けると、

何か見えますか?」

 

しばらく木村さんは黙っていましたが、

「なんか、西畑が私に

しがみついている姿が見えます」

と答えました。

 

それはかなり的確な表現でした。

 

実は私にも、

西畑さんが木村さんにしがみついているような

感覚が伝わってきていたからです。

 

「その、しがみついている西畑さんは

何か喋っていますか?」

 

と私が問うと、

木村さんは恐ろしい一言を

言いました。

 

つづく

 

「一つ」になれば、質問すら要らなくなる

これからは弓江さんが

新規事業プロジェクトチームのミーティングの司会を

「コーチ」として行なうことが決まりました。

(→前回記事)

 

木村さんと弓江さんの二人コーチングは

さらに続きます。

 

もうこの頃になると、

私達3人は完全に「一つ」になっています。

 

もちろんそれは感覚的なものです。

 

でも私は、二人の呼吸が

手に取るようにわかるようになっていました。

 

そんな時、私はいつも

あえて私が「問い」を創ることをやめてしまいます。

そして、

次のように言葉をかけたりします。

 

「ここまでの流れとまったく関係なくてもよいので、

何か喋りたいことはありますか?」

 

・・・と、二人に投げます。

 

すると、自然に「喋りたい空気感」が

どちらかから伝わってきます。

 

今回は弓江さんから伝わってきました。

 

「弓江さん、

何か喋りたいことがあるのでは?」

 

そう言われて弓江さんは最初、

「え〜、何か私、喋りたがってます?」

と言いましたが、ふと、思い出したように、

「あっ、あります!」

と答えました。

 

「全然関係のないことなのですが、

それでもいいですか?」

 

「はい、大丈夫ですよ。」

 

「木村リーダーって、西畑さんとお話しすると、

いつも何かおかしくなりません?

何かに取り憑かれたようになる、というか・・・。」

 

そうでした。

 

私が、木村さんと弓江さんの二人コーチングを

しようと思った直接のきっかけは、

西畑さんからの「エンティティ」でした。

(→【取り憑かれるのは普通のこと】)

 

どうやら木村さんが西畑さんから

強烈なエンティティを受け取っているらしい、ということを

弓江さんの「観察」によって私は知ったのです。

 

私は、エンティティについて、

二人に詳しく説明をしました。

 

その話を聴いて木村さんは、

「とてもよくわかります」

と言われました。

 

「西畑と喋った後は、なぜがいつも

すごく疲れるんです。

私は彼とは仲がいいし、気も合うと思っているのですが、

なぜか時々、すごく疲れるんです。

まぁ、何かの偶然なんだろうな、と思っていました。」

 

「いつも、体のどの辺りが

疲れますか?」

 

「・・・そうですね。

肩から背中にかけて、ドーンと重くなると言うか。

鉛が乗っかっていると言うか。」

 

「今はどうですか?

その感覚はあります?」

 

木村さんは、ジーッと肩や背中に

意識を向けているようでした。

 

「何となくですが、

ちょっとだけ重い感じがします。」

 

「あぁじゃあ、今も少しだけ

エンティティが憑いているかも知れませんね。」

 

「ホントですか?」

 

「はい、ちょっと見てみますか?」

 

つづく

 

覚悟を持てば、すべてが観える

「覚悟」という言葉があります。

 

辞書をひきますと、

いろんな意味が書かれていますが、その中に

 

「迷いを脱し、真理を悟ること」

 

とあります。

 

私はこれまでコーチングの場面で、

クライアントさんの「覚悟の目線」というのを

数多く拝見してきました。

 

その人が覚悟を持った瞬間に現れる

独特の目線です。

 

独特の目の輝きもあります。

 

覚悟を持った目(目線)は非常に清々しく、

私は、その目(目線)と向き合うたびに、

人の本質的な強さと素晴らしさを

体感します。

 

そういった意味で言えば、

毎日当たり前のように

覚悟の目(目線)を持ちながら生きている人も

います。

 

そんな人とは

一緒にいるだけで、癒されます。

 

人は、「覚悟」を持つと

楽になります。

人生を生きることそのものの根源的な

「楽」を得るのです。

 

逆に言えば、覚悟を持たないからこそ

悩み苦しむと言ってもよいでしょう。

 

覚悟を持てない状態から、

覚悟を持てる状態へ。

それが、私のコーチングの重要な一つの

目的です。

 

木村さんと弓江さんの二人コーチング。

(→前回記事)

 

その中で、ついに木村さんが

覚悟の目(目線)を見せました。

 

新規事業プロジェクトチームの真本音は

 

『全員がチームの代表として

お客様と向き合う』

 

・・・と、木村さん自らが見出した瞬間にです。

 

その時の彼の目を見たときに、私は

彼を覆っていた何物かが壊れた、

もしくは、取り払われたことを知りました。

 

木村さんの発する空気感と言いますか、

エネルギーと言いますか。

そういったものがグワッと私に向かってきました。

 

それはとても心地良いものでした。

 

と、次の瞬間、

木村さんは、フッと肩の力を抜きました。

 

彼は、微笑みました。

 

そして言ったのです。

 

「なるほど。弓江の言う通りです。

弓江さん、君はやっぱり凄いよ。

君の凄さが今、ようやくわかったよ。」

 

弓江さんは、目を白黒させました。

 

「たけうちさん、

私はどうやら間違っていたようです。」

 

そう言って彼は

びっくりするような素敵な笑顔を見せました。

 

あぁ、本当の木村さんが開放されたな、と

私は直観しました。

 

つづく

 

心を開き合うだけでは足りません

木村さんと弓江さんの二人コーチング。

(→前回記事)

 

二人とも短時間でオープンマインドと

なりました。

場の空気があたたかくなってきました。

 

ここで私は一気に場の次元を上げることを

しました。

普通では、なかなか投げない質問を

あえて弓江さんに投げました。

弓江さんの真本音の高まりを感じ取った

からです。

 

「弓江さんの人生の目的は何ですか?」

 

虚を衝かれた弓江さんは

一瞬、フリーズしました。

 

しかしさすが弓江さんです。

これまでの私のやりとりの中で、

私の無茶振りに慣れてきていたようです。

こういった時は何も考えず

ただ口を動かせばいい、というコツを

すでに掴んでいました。

 

彼女はとっさに答えたのです。

 

「リーダーのサポートです。」

 

答えながらも、弓江さん自身が

その答えに驚いていたようでした。

 

「どんな意味かわかります?」

 

と私が問うと、

 

「私はずっと探してるんです。

自分が全力でサポートしようとするリーダーを。

それは仕事の上、だけでもない気がします。

例えば私の人生のパートナーとなる人とか。

私は、自分がサポートしたい人を見つけ、

その人を全力でサポートしたいのだと思います。」

 

考えて言葉にしているわけではありません。

言葉が溢れ出ている感じです。

自分で答えながら、自分で驚いている、

という状態です。

 

実はこれは日常茶飯事です。

特別なことではありません。

自分自身が抑えていた想いや願いは、

ほんのちょっとしたきっかけでフタを開け、

一気に溢れ出ることがあるのです。

 

ただしそれができるのは、

真本音度合いが高まっている時に

限ります。

 

「弓江さん、

目の前にいる木村リーダーは、

弓江さんが全力でサポートしたいリーダーですか?」

 

私は単刀直入に訊きました。

 

「はい、そうです。」

 

と答えながら、

弓江さんは目に涙を浮かべました。

 

「でも、今の私には、それをするだけの力が

ありません。」

 

木村さんは茫然とその様子を

見ていました。

 

「木村さん、

実はこれが、弓江さんの真本音です。

弓江さんは真本音で木村さんをサポートしたいと

思ってるんですよ。」

 

「は、はぁ・・・。」

 

「でもね、弓江さん。

木村さんに言いたいことがあるのでしょ?

せっかくなので、全部言っちゃいましょうよ。」

 

弓江さんは、肚を決めたように

喋り出しました。

 

「今の木村リーダーは、全然木村リーダーらしく

ないんです。

私は、木村リーダーがロックバンドをしているのを

ライブで見たことがあります。

あぁこれが、この人の本当の姿なんだと感動しました。

でもそれが全く仕事では出ていません。

特に、新規事業プロジェクトが始まってからは。

いい子ちゃんリーダーになってしまっている感じが

するんです。

でも、私は木村リーダーを尊敬しています。

木村リーダーがあのロックバンドのような姿を見せれば、

みんなついてくると思うんです。

私は、そんな木村リーダーになってほしい。

そのために私ができることがあるなら、

何でもしたいと思ってるんです。」

 

涙を流しながら、

しかし静かに彼女は語りました。

 

その瞬間、

私は、その場の次元が一気に高まったのを

感じました。

 

これは私独自の感覚なのかも知れませんが、

次元が一気に高まると、

私はその場全体がまるで霧がかかったように

真っ白に見えるのです。

と同時に、何かが開放された感覚がします。

 

弓江さんの顔も、木村さんの顔も

何か憑き物が落ちたような自然さが

漂いました。

 

さぁ、実はここまでが準備段階です。

 

私はこの状態にしたいのです。

 

次元が高まることで、

私だけでなく、その場にいる全員が

真本音コミュニケーションを

自然にできる状態です。

 

ここからが

チームコーチングの本当の意味での

スタートなのです。

 

つづく

 

素直になるだけで、物事はどんどん進みます

木村さんと弓江さんの二人コーチングを

しています。

(→前回記事)

 

私が木村さんに、

最近の新規事業プロジェクトの様子を訊くと、

彼は

「実績が上がって来たのは順調だと思いますが、

本当に真剣な人とそうでない人の差が

出始めていますね」

と答えました。

 

これは非常に面白い視点です。

 

私はさらに木村さんに問いました。

「例えば、真剣な人はどなたですか?」

 

すぐさま彼が答えました。

「弓江です。」

 

目の前の弓江さんが

びっくりしたような表情をされました。

 

この素直さ。

 

ここまでの段階で結構、

弓江さんから責められていた木村さんでしたが、

素直に彼の答えが、ポンっと出ました。

 

間違っても、これは彼のその場しのぎの答え

ではありません。

本当に素直に出たのです。

これが、

真本音度合いの高まった人同士の会話の

特徴です。

 

「弓江さんの、どんなところが真剣ですか?」

 

「目的を忘れないところです。

何のために今、これをしているのか?をいつも

大事にしています。

そしてそのための意見を私に言ってくれます。」

 

どうやらこれは、弓江さん自身が本当に

大事にされていたことのようです。

彼女の表情が一気に柔らかくなったのが

わかりました。

 

何度も言いますが、

もしこの言葉を木村さんが建前で言っていたとしたら、

それはすぐに感覚としてわかってしまいます。

二人コーチングの場は、

「向き合っている場」だからです。

 

木村さんの素直な言葉であるからこそ、

弓江さんの表情は柔らかくなりました。

 

「では、木村さんの言われる真剣さ、というのを

別の言葉で表現するとどうなりますか?」

 

「主体的であることです。

自分で考え、自分で行動する、ということです。」

 

「弓江さんは主体的なんだ。」

 

「そうです。ですから、ありがたいです。

弓江の存在は。」

 

これも本当に心の底からのつぶやきでした。

 

もともと、私が弓江さんのコーチングを行なうきっかけと

なったのは、木村さんが弓江さんの存在を

「疎ましい」と思い、いっそのこと自分がリーダーを辞めよう

とまで思ったのがきっかけでした。

 

そんな木村さんだったのに、真本音状態になれば

まったく別の顔を覗かせます。

 

実はこれもよくあることです。

 

「弓江さん以外の人は、

その点、どうですか?」

 

「はい。人によって主体性は異なります。

主体性の高い人はいます。

でも残念ながら、そうでない人も出てきました。

私は、悩みました。

主体性のない人に主体性を取り戻してもらうために

どうすればいいか?と。」

 

「もともとは主体性のある人達だったんですよね?」

 

「はい。そういったメンバーが集まってますから。

でも恐らく、プロジェクトが発想段階から実行段階に

移ることで、未経験なことに向かうことに対して

恐怖感が出てしまっているのでしょうね。」

 

「なるほど。」

 

「そこで私が私なりに出した答えが、

まずは、皆が自信を持てるようにすることでした。

そのために、自分が指示を出し、実践してもらい、

何らかの成果を上げる。

そういった経験が彼らに必要だと思いました。」

 

「あぁそれで、木村さんがすべてを決めて

皆を動かしているわけですね。」

 

「実はそうなんです。」

 

ここで、弓江さんに振ります。

 

「弓江さん、

この木村さんのお話を聴いていかがですか?」

 

「本当に失礼な言い方になってしまいますが、

あぁそこまで考えていらしたんだ、と思い

ちょっと嬉しくなりました。」

 

この言葉は、言葉だけを見ると

かなり上から目線の失礼な言い回しなのですが、

これを口にしている弓江さんは

本当に嬉しそうな表情でしたので、

思わず場はホッコリとしました。

 

しかし弓江さんは続けます。

 

「木村リーダーの意図はわかりました。

ある意味、私もそれが大事かな、とも思います。

でも本当に、それだけで良いでしょうか?

私は、一度受け身になってしまった人は

そのクセが抜けなくなってしまうと思うんです。」

 

「なるほど。

では、どうでしょう?

弓江さんには、何か良いアイデアはありますか?」

 

「う〜ん。

それがわかればいいんですが。

私は木村にはいつも文句を言うのですが、

だからと言って対策を提案できるわけではないんです。

ただの評論家になっています。

それが、もどかしいんです。」

 

今度は、弓江さんが少し素直になってきました。

 

木村さんの表情が柔らかくなりました。

 

場が良くなってきました。

二人ともがオープンマインド状態です。

真本音度合いが高い人同士ですと、

この状態になるまでが早いのです。

 

ですから私は、まずは

一人一人の真本音度合いを高めることを

大切にしています。

あくまでもその上での

チームコーチングです。

 

さて、ここからが本番です。

 

場が良くなってきたところで、

私は、少し強めの刺激を二人に与えることにました。

 

ここからが

本当のコーチの腕の見せ所です。

 

つづく

 

その二人でしかできないコーチングがある

木村さんと弓江さんの

二人コーチング。

(→前回記事)

 

一人のコーチ(つまり私)が、

二人を同時にコーチングします。

 

これがチームコーチングの

基本です。

 

私はまず、あえて弓江さんに問いました。

 

「弓江さん、

最近の新規事業プロジェクトの様子は

いかがですか?」

 

思った通り、即座に答えが返って来ました。

 

「止まってます。」

 

えっ?という意外な表情を

木村さんがされました。

 

スタートから面白い展開になりました。

 

面白いので私はあえて

木村さんに振りました。

 

「止まってるんですか?」

 

「えっ? いや、あの・・・。」

 

木村さんは動揺を隠しませんでした。

 

実は、新規事業プロジェクト自体は

順調に進んでいることは私も聴いていました。

 

ですが、弓江さんがそのように答えるということは

それとはまた違った視点からの

見え方があるのでしょう。

 

それをそのまま弓江さんに質問すればよいのですが、

ここがチームコーチングの面白いところ。

あえて、木村さんに振ったのです。

 

それにより、

一人一人の個別コーチングとはまた違った

展開が生まれます。

その展開こそが、

個別コーチングでは決してたどり着けない

何らかの気づきや答えに行き着きます。

 

「私は止まっているように思えないのですが、

なに、・・・今止まってるの? どこが?」

と木村さんは弓江さんに問いました。

 

すでに二人の会話が始まりました。

 

弓江:「えっ? 止まってますよぉ。」

 

木村:「どこが?」

 

弓江:「わからないんですか?」

 

木村:「・・・わからないよ。進んでるでしょ。」

 

弓江:「じゃあ逆に訊きますが、

何が進んでいるのですか?」

 

木村:「実績も出始めているし、

決めたことはみんなやるし。」

 

弓江:「誰が決めてるんですか?」

 

木村:「えっ? そりゃ俺が決めてるよ。」

 

弓江:「でしょ?

木村リーダーが決めていることを

みんなやってるだけじゃないですか。

それのどこが進んでるんですか?」

 

木村:「どこって・・・。」

 

やはり予想通り、

弓江さんが木村さんを責める状態となりました。

 

恐らく、木村さんが最も嫌な展開なのでしょう。

 

ここで私が割って入りました。

 

「弓江さん、

弓江さんにとって、進まない、というのは

どういうことですか?」

 

「進歩がない、ということです。

同じレベルのことを、ただダラダラとやり続けることです。」

 

「今は、そう見えると?」

 

「はい。

みんな、木村が言う通りのことしか行なっていません。」

 

ここで木村さんが何かを話そうとされましたが、

あえて私はそれを止めました。

 

「もう少し、詳しく教えていただけますか?」

 

「はい。以前はみんなでいろいろな意見を

出し合ってたんです。

もちろんすべてが手探り状態でしたから、

意見を出し合わなければ進めないという

ところもありました。

でも今は、いろんなことが軌道に乗り始めて、

会議をしても、木村リーダーがほぼすべてを決めて、

メンバーはそれを実行するだけ、になっています。」

 

「それはあまり良いことではないと?」

 

「だって、木村さんはそういうチームを創りたいのでは

ないでしょう?

みんなが主役になって引っ張っていくチームにしたいって

言われていたじゃありませんか。

今はみんな受け身です。」

 

ここで木村さんに振りました。

 

「木村さん、いかがですか?

今の弓江さんの見方については?」

 

「う〜ん、確かにそうかもしれないが、

今はみんなで発想するよりも、

決めたことを確実に実行することが

大事だと思っていますし・・・。」

 

どうも木村さんは、弓江さんを前にすると

発言が弱腰になります。

 

この弓江さんからの発言は、恐らく

今の木村さんや新規事業プロジェクトにとって

本質的な提言でしょう。

テーマとしては重要だと感じました。

 

が、あえてここで、

展開を大きく変えます。

 

「では、この件はとても重要そうなので、

後でゆっくり話し合ってみましょう。

もう一度、最初の質問に戻りますが、

木村さん、

木村さんから見た最近の新規事業プロジェクトの

様子はいかがですか?」

 

「はい。

実績が上がって来たのは順調だと思いますが、

本当に真剣な人とそうでない人の差が

出始めていますね。」

 

この言葉を聴いて、

これは面白い! と私は思いました。

 

恐らく、ここまでの弓江さんとのやりとりがなければ

出てこなかった発言かもしれません。

 

しかもこの彼の着眼点は、

弓江さんの提言と後々に統合しそうです。

 

これこそ、チームコーチングの

醍醐味です。

 

つづく

 

人は愚かだ、ということを受け入れよう

時々、私は

「たけうちさんは性善説ですよね?」

と訊かれます。

 

私がいつも真本音の話ばかりを

しているからでしょう。

 

いえ、私は性善説では

ありません。

 

人は、愚かです。

 

私は断言します。

 

人は、愚かです。

 

自分自身を含めて、私は人の愚かさを

嫌というほど、見たり、体験してきました。

 

愚かさということで言えば、

私ほど愚かな人間はいないのではないか、と

本気で思ってもいます。

 

しかしそれは

「すべて」ではない。

 

それは、自分の一部です。

 

人の一部です。

 

人には、素晴らしい部分も

愚かな部分も、

あらゆるものが詰まっています。

 

それらをすべて、あるがままに

受け取ることのできる人こそが、

真の強さを手に入れることができます。

 

いえ、「強さ」と言うと

だいぶ本質から離れてしまうかな。

 

自分がどうであろうと、

環境がどうであろうと、

希望を持とうが、

絶望に打ち拉がれようが、

関係なく、

次の一歩を淡々と、

自分の本当にすべきことを、

し続ける。

 

自分の本当にしたいことを、

し続ける。

 

それが、

真本音で生きる

ということです。

 

愚かでもいいではないか。

 

私には私のすることがある。

 

だからそれをする。

 

・・・このシンプルさ。

 

これが、

真本音で生きる

ということです。

 

すべての人が悲しみを

抱えています。

 

すべての人が怒りを

抱えています。

 

それをそのまま人にぶつけてしまう、

そんな生き方もあります。

 

でもそういった悲しみや怒りを

そのまま受け止めて、

何も否定せずに受け止めて、

しかしそれに捕らわれることもなく

次にすべきことをする、

という生き方もできるのです、

我々人間は。

 

それができている人は、

常に、心も魂も満たされています。

 

そういった生き方ができるといいな、

そういった生き方をサポートしたいな、

・・・それが私の想いです。

 

人はもっともっと

人間らしく生きられるはずです。

 

人間らしく生きる、とは

真本音で生きる、ということです。

 

真本音で生きる、とは

特別な人生を生きることではありません。

真に自分らしく

真に人間らしく

生きるということです。

 

それができれば、

すべてが調和します。

 

組織は調和し、

社会も調和します。

 

「調和させよう」と思いながら生きても

調和はしません。

 

「真の自分として生きよう」

とすることで、調和は

自然発生するのです。

 

私は、「チームコーチング」というサポート手法を

使います。

 

それは、これまでの企業現場の中で

自然に培われてきた手法です。

 

私にとっては当たり前のように使ってきた

手法なのですが、

どうも、世の中にはそういった手法が存在していないのだ、

ということに気づき始めました。

 

なぜこの当たり前のやり方が

世の中には存在していないのか?が

不思議でなりません。

 

しかし存在していないのであれば、

多くの人にお伝えした方がよいですね。

 

単純に今は、そう考えています。

 

チームコーチングの基本は、

「二人コーチング」

です。

(→前回記事)

 

二人を同時にコーチングする

のです。

 

これができるようになれば、

もっと多勢でのチームコーチングも

可能になります。

 

ただし、

二人コーチングは、いつでもどこでも

できるわけではありません。

 

二人の準備が

必要です。

 

つまりは、二人がそれぞれ

自分の真本音の人生を歩み始めること。

それがなければ

本当の調和は訪れないからです。

 

木村さんと弓江さんの話に戻せば、

私は二人の調和性は抜群であると、

認識していました。

 

しかし、それは二人共の

準備ができる

ことが前提です。

 

準備ができる前に二人を同時にコーチングしても

二人ともを打ち消し合ってしまうでしょう。

 

ですからチームコーチングとは

「始めるタイミング」

が命です。

 

ここが、コーチとしての腕の

見せ所です。

 

私は、「今」が

木村さんと弓江さんの「二人コーチング」の

始まりの時だと確信しました。

 

私は二人を呼び出しました。

 

木村さん、

弓江さん、

私。

 

3人でテーブルを囲みました。

 

「準備完了」。

二人の真本音からは

そんなメッセージを受け取った

気がしました。

 

つづく

 

この人のことは、あきらめよう

木村さんは、西畑さんのエンティティを

受けていた。

(→前回記事)

 

それがわかった私は西畑さんと面談

しました。

 

彼としっかり向き合うのは初めてでした。

 

向き合った瞬間、

「あぁこれは、ダメだ」

と思いました。

 

彼は、エンティティの塊でした。

 

しかし以前に、彼を遠くから見たときには

このような印象はありませんでした。

 

恐らく、彼自身に何かが起こり、

エンティティを大量発生させる彼に

なってしまったのでしょう。

 

彼の目は澄んでいました。

 

まっすぐに私を見てきます。

 

その姿勢は、一見、

とてもまっすぐで、素直で、前向きです。

 

しかし、エンティティいっぱいの人は

それらがすべて、どことなく、

ウソっぽい

のです。

 

残念ながら、一般の人はその区別が

なかなかつかないようです。

この区別がつくようになれば、

どんなに良いだろうか、と私は思います。

 

私は西畑さんに、

普段はどのような役割をされているのか?

何を大事にお仕事をされているのか?

などを訊きました。

 

とても前向きな返事が返ってきました。

 

木村さんのことをどう思います?

西畑さんにとっての木村さんはどういった存在です?

とも訊きました。

 

「同志だと思っています。」

 

そう言った西畑さんは、

木村さんの素晴らしさを並べ立てました。

 

しかし、私の心には

彼の言葉のたった一つも

入ってきませんでした。

 

「これは、いかん。」

 

と私は思いました。

 

と同時に、本当にすべての合点が

いきました。

 

木村さんが真本音度合いを高めつつも、

どうしてもある一線を超えられない理由は、

西畑さんでした。

 

彼が、木村さんの足を

引っ張っていたのです。

 

西畑さん自身は、

その自覚がありません。

 

彼のエンティティが

それをしていたのです。

 

実は、

こういった例が、本当に本当に

多いです。

 

とても言葉は悪いのですが、

西畑さんから私は

「進化する意欲」

を、まったく感じませんでした。

 

進化、とは人の本能の根本にあるものです。

それを彼は、

打ち消しています。

 

進化する気持ちをすべて打ち消し、

進化しているフリをする。

前向きなフリをする。

素直なフリをする。

協調するフリをする。

 

それが彼でした。

 

本当に言葉が汚くて申し訳ないのですが、

それが事実でした。

 

残念ながら、現時点では

私は西畑さんを変えることはほぼ無理である

と感じました。

 

もちろん、すべての人には可能性があります。

きちんと真本音度合いを高めれば、

進化への道を歩み始めるでしょう。

 

しかし、彼に対して無理にそれをするよりも

もっと効果的な道があるように思いました。

 

西畑さん自身を変えようとするよりも、

木村さん自身をもっと強くする。

木村さんの次元をもっと高める。

 

その結果、その影響によって

西畑さんが変わっていく。

 

それが、最も自然な順番であり、

最も楽な道であると

私は思いました。

 

コーチとは、このように

最も楽な道を見出し示す存在

だと私は思っています。

 

ですから私は、現時点では、

西畑さんのことを

「あきらめました」。

 

この、「あきらめる」ことも

とても重要です。

 

何を「あきらめて」

何にパワーを注ぐか?

 

その選択こそが命です。

 

私はすべてを木村さんと弓江さんに

お話しすることにしました。

 

二人を同時にコーチングする

道を選んだのです。

 

つづく

 

説得しようとしないことが、思わぬ好展開を生む

弓江さんが変化することで、

木村さんが変化する。

その順番で、二人の真本音度合いを

一気に引き上げる。

 

それが今、私にできる最善のサポートであると

確信しました。

(→前回記事)

 

そんな流れの中での

「弓江さんはコーチに向いています」

というメッセージでした。

 

ところが、弓江さんはすぐにはそれを

受け止めてはくれませんでした。

「とてもとても信じられません」

と。

それはそうでしょう。

当然、そのような返事が返ってくると思っていました。

 

さぁ、真本音コミュニケーションを続けましょう。

 

こういった時ほど、相手の真本音に委ねます。

間違っても、

説得しようとか、納得してもらおうとかは

思わないことです。

 

「どうして、信じられないのですか?」

 

「だって、たけうちさんもわかりますでしょ?

私のこのコミュニケーションを見れば。

どう見ても、コーチ向きではないでしょ。」

 

「そうですねぇ。

コーチとは真逆のコミュニケーションですね。」

 

「でしょ!

こんな私にコーチング力があるとは思えません。」

 

「ありますよ。」

 

「ですから、どこがですか!」

 

彼女はついに怒り出しました。

大変申し訳ないのですが、私は内心

クスクスと笑いが止まらなくなりました。

 

「コミュニケーションの取り方は、なかなか

最悪ですね。」

 

「わかってますよ!

だから向いてないと言ってるんです。」

 

「でも、コミュニケーションの取り方以外は

すべてコーチに向いてますよ。」

 

一瞬、弓江さんは私の言っている意味を

把握できなかったようです。

しばらく目を白黒させていました。

 

「どういうことですか?

コーチって、コミュニケーションの取り方が

重要なんですよね。」

 

「コミュニケーションの取り方なんて、

表層的なことですよ。

現に、弓江さんと同じようにはっきりくっきり

物を言う人で、コーチング力のすごい人を

私は何人も知っていますよ。」

 

「えっ? じゃあコーチング力って何ですか?」

 

「今は教えません。」

 

「えっ? なに? どうしてですか。」

 

「教える必要がありませんから。」

 

「まったく意味がわかりません。」

 

「わからなくてもいいです。」

 

「たけうちさん、

私をからかってませんか?」

 

「全然からかってませんよ。

弓江さんとのコミュニケーションを楽しんでます。」

 

「それ、からかってるってことでしょう!」

 

そう言って彼女は笑い出しました。

この明るさ。

これが、弓江さんの本質です。

 

例えば、真本音度合いの低い人に

このようなコミュニケーションを取れば、

間違いなく深刻な展開となっているでしょう。

しかし弓江さんは笑い出しました。

 

私が意図してやっていることではありません。

真本音に委ねているだけのことです。

 

「弓江さんは、私がどんなコミュニケーションを取っても

そうやってまっすぐに向き合ってくれるじゃないですか。

私の一言一言をちゃんと聴いてくれる。」

 

「えっ? 私は聴き下手ですよ。

いつも、もっと人の話を聴きなさい、って

叱られます。」

 

「じっくり聴くことはしないと思いますが、

肝心なところをちゃんと受け取っています。

そしてそれに対して、まっすぐに考え、まっすぐに

返してくれます。

それがとても心地よいです。」

 

「う〜ん、確かに、まっすぐというのは

私らしいかもしれませんが。」

 

「弓江さんは、今私が弓江さんに

何を伝えようとしているかわかるんじゃないですか?」

 

「何を伝えようとしているか?

・・・私に『変われ!』ということですか?」

 

「どこを『変われ!』と言っていると思いますか?」

 

「・・・なんか、大したことを要求されている感じは

しません。

ちょっとしたところを変えた方がいい、と

言われている気がします。」

 

「さすがですね!

そこが、コーチに向いているところなんですよ。

本質を掴む力がピカイチです。」

 

「えっ、そうなんですか?」

 

「そうですよ。

例えば、木村さんの今の状況とか。

弓江さんが感じ取ることは非常に本質を

ついているんです。

最も肝心な部分を明確に言い当てています。

それができる人は、コーチに向いてるんですよ。」

 

「・・・そんなもんでしょうかね。」

 

「はい、そんなもんです。

弓江さんはちょっとだけご自分を変えれば

いいんです。」

 

「どこをですか?」

 

「コミュニケーションの取り方を、です。」

 

「えぇ? そんなこと言っても

今の私のコミュニケーションの取り方は長年ずっと

これでやってきたものです。

変えることなんてできませんよ。」

 

「そう思い込んでるだけのことです。

コミュニケーションなんて、最も簡単に変化させられる

ものなんです。

形を変化させるだけですから。

それは私が教えます。

でもこれは、本質を掴む力を持っている弓江さんだからこそ

有効なことなんです。

表面をちょっと変えるだけで、

劇的に物事の進展の仕方が変わりますよ。」

 

実はこの時点では弓江さんには伝えていなかったのですが、

弓江さんの力は、本質を掴む力、だけではなかったのです。

もう一つ、とても重要な力を持っていました。

それこそを、彼女はこれまで、恐らく一切、

使ってきませんでした。

 

それは、

相手を尊重する力

です。

 

私が、

『尊重力』

と呼んでいるものです。

 

つづく

 

自信過剰な人は、肝心なところで逃げてしまう

自分のことを小さく見る、

という人が時々います。

 

それは一見、謙虚、という姿勢とも言えますが、

私はそういった人を見ると反対に、

すごく傲慢だな、と思う時があります。

 

自分は小さい。

だから、できません。

 

と自分の小ささを理由に、

その人が真本音で望んでいることを

その人自身があきらめる。

 

・・・それは、自分自身の人生と真摯に向き合うことを

放棄してしまっている姿勢です。

 

自分は小さいと勝手に決めつけ、

結果、何もやらない。進まない。

なんと、傲慢な、・・・と思ってしまうのです。

 

もちろん、

自己過信する必要はありません。

 

自己過信する人も、その過信が故に、

本当に自分が真本音でやろうとしていることと

まったく別の方向に進んでしまうケースが

多いです。

 

そういった意味で、

自己過信する人も、自分を小さく見過ぎる人も、

本質は同じです。

 

傲慢であり、怠慢です。

 

ちょっときつい言い方かな、とも思いますが、

そういう人を見ると、本当にもったいないと

思うのです。

 

もっと淡々と、粛々と、

自分の望む道を進めばいいのに、と。

 

そうすれば、

そんなに荒れることもなく、

そんなに障害や妨害に合うこともなく、

自然に幸せな道が開くのに、と。

 

真本音の道。

 

こう書くと、何か特別な道のような

印象になってしまいますが、それは、

最も自然体で進む道、

ということです。

 

自分の胸の中にずっといつまでもあり続ける

その願いに素直に普通に進む道

ということです。

 

誰もがその道を進めば、

すべてが調和します。

 

なぜなら、私達人間の真本音は

深層心理ではすべてがつながっているからです。

 

自分の本当に望む道と、

人の本当に望む道は、

完全に調和するのです。

 

ですから私のコーチングサポートの目的は

実にシンプルです。

 

「いかにその人の真本音度合いを上げるか?」

 

この一点に尽きます。

 

このための、

あらゆる方策を行ないます。

 

逆に言えば、

そこにつながらないあらゆる方策は

一切行ないません。

 

木村さんから見えている世界。

それは、

「自分と一緒に仕事をすると、

弓江はとてもキツくなり、自分に当たってくる。

自分がいることで弓江がそうなるなら、

自分がいなくなった方がよい。

自分のためにも、弓江のためにも、

会社のためにも」

ということでした。

(→前回記事)

 

しかし真本音度合いを高めるという

視点から見れば、まったく別の世界が

見えます。

それは、

「木村さんのことを本当に好きな弓江さんは、

木村さんの真本音度合いを高めるために

彼女なりの行動をし続けた。

しかし木村さんは、それを拒絶し、

真本音度合いを高めるチャンスを

逸しようとしている」

というものです。

 

なぜ拒絶するのか?

 

そこに、木村さんの反応本音のクセが

出てしまっています。

 

木村さんの反応本音のクセで大きかったものは

二つです。

 

一つは、

自信過剰で、イケイケどんどんとなる

クセ。

つまり、自分のことを大きく見過ぎるのです。

 

もう一つは、

何かあるとすぐに自信を失い、消極的になる

クセ。

つまり、自分のことを小さく見過ぎるのです。

 

この2番目のクセが

今回は出ています。

 

ちなみに、この二つのクセは

作用・反作用の関係にあります。

 

つまりこれは、木村さんだけなく、

あらゆる人に起こりうる「セットのようなクセ」です。

 

作用・反作用が起こりやすいのが

反応本音のクセの特徴です。

 

一方が引っ込めば、

もう一方が顔を覗かせます。

 

ということで、私から見た今回の現象は

次のようになります。

 

「せっかく木村さんの真本音度合いを上げようと

弓江さんという人が近づいてきたのに、

そのまっすぐさ、が怖くて、

木村さんは逃げようとしている。」

 

もちろん、本当に逃げようとしているわけでは

ありません。

コーチングの場では、逃げたい、という気持ちを

出しますが、

彼は彼なりに何とかしようとしています。

 

ですので、

私がここでとる方策は、

「木村さんの真本音度合いも、

弓江さんの真本音度合いも、

共に一気に引き上げる」

という、そのための方策です。

 

そうなるためにはまず、

弓江さんに少し変化していただくことが

ベストだと直観しました。

 

弓江さんの変化が、

木村さんの変化を

呼び起こします。

 

その順番です。

 

こういった「順番」を見つけることも

コーチとしては重要な役割の一つです。

 

そこで出てきたメッセージが、

弓江さんへの

「あなたは、コーチに向いています」

という一言だったのです。

 

つづく

 

想いをカタチにできない人がとても多い

弓江さんとの初めてのコーチング。

 

彼女の真本音度合いを高さを直観した私は、

あえて通常では考えられない問いから

スタートしました。

 

「弓江さん、

木村さんのこと、嫌いですか?」

 

「はい、嫌いです」

 

すぐさま、まっすぐな答えが返ってきて、

私は笑い出しそうになりました。

(→前回記事)

 

この人は本当に面白い。

 

どうやら初っ端から真本音コミュニケーションが

できそうです。

 

しかも次の問いが非常に重要であると

私は直観しました。

次に私がどのような問いを投げるか?で

展開は大きく変わります。

 

こんな時はすべての意図を手放して、

ただただ相手の真本音に委ねます。

 

自然に私の口は開きました。

その結果、以下のような展開となりました。

 

「弓江さん、

木村さんのこと、嫌いですか?」

 

「はい、嫌いです」

 

「でも、本当は好きなんでしょ?」

 

「・・・そう言われると困りますが、

はい、私は木村のことが好きでした。

もちろん、人間として、ですよ。」

 

「どんなところが好きだったんですか?」

 

「木村がロックバンドやっているのを

ご存知ですか?」

 

「はい、存じ上げています。」

 

「以前に私、木村のライブに行ったことが

あるんです。

感動しました。

そこから好きです。」

 

う〜む。

なるほど、そうだったのか。

 

「どんなところに感動されたのですか?」

 

「彼の自由奔放さ、です。

仕事では絶対に見せないような無邪気な

顔をしていました。」

 

「そうですね。なかなか彼は、そういった自分を

仕事では見せないですよね。」

 

「はい。でも、時折、仕事でも顔を覗かせて

いたんですよ。あの自由奔放さが。」

 

「へぇ、そうなんでか。」

 

「ほんのちょっとですけどね。」

 

どうやら弓江さんは本当に木村さんのことが

好きなようです。

もちろんそれは、異性としてではなく、

人間として、だと思いますが、

それでも、木村さんのことをよく観察しています。

 

いや、ひょっとすると、木村さんだけでなく

すべての人をよく観察しているのかも知れません。

 

「でも、いつからそんな木村さんのことを

嫌いになってしまったんですか?」

 

「新規事業プロジェクトからです。」

 

「なぜまた?」

 

「・・・なぜかとてもイライラするんです。

木村の判断、行動、振る舞いのすべてに

イライラするんです。」

 

「特に、イライラした瞬間で思い出せる

場面はありますか?」

 

しばらく弓江さんは考えて、

 

「ミーティングでよく彼は、

みんなが主役だ、俺はコーチ役だ、

みたいなことを言うんです。

その度に、とてもイライラします。」

 

なるほど。

だいぶ見えてきました。

 

「あぁそれは、私がちょっと変な影響を

与えちゃってるかなぁ。

私がコーチングスキルなどを教えてしまって

いますから。」

 

「いえ、コーチングのやり方をとること自体は

いいんですよ。

みんなの意見や想いを自由に出し合って

進めること自体は私も賛成です。

でも、なぜか木村がそれをすると、

腹が立つんです。

なんか、猿真似、というか、形だけ、というか、

中身がない、というか。」

 

「そういえば、木村さんから聴いたのですが、

お客様のクレーム処理の時に、弓江さんは

木村さんに『甘いです』という意見を

言われたそうですね。」

 

「そうなんですよ。甘いんですよ。

あのクレームのお客様の担当は私だったんです。

だから私にクレーム処理を言いつければいいのに、

自分でやろうとして。」

 

「あっ、そういうことだったんですか?」

 

「そうです。

まぁ、私に任せておくとちゃんとクレーム処理

できないんじゃないか、って不安だったのだと

思います。

でも彼は、コーチの真似をしながらも、

肝心な部分は全部自分でやろうとします。

部下やメンバーを本当には信じていないし、

信じようとしていない。

信じているフリはしてますけどね。

そこが、甘い、と思うんです。

一緒にメンバーとしてやっていこうと思うなら、

もっと私達に厳しくしなければならないし、

もっと毅然としていてほしいんです。

あのロックバンドの時のように。」

 

「要するに、今の木村さんを一言で表現すると

どうなりますか?」

 

弓江さんは、しばらくじーっと考えていました。

そして、

 

「生ぬるい、ということでしょうか。」

 

この言葉が、私にゾワーッと伝わってきました。

つまりこれは、弓江さんから木村さんへの

真本音メッセージなのです。

 

弓江さんは、木村さんのことが本当は

好きです。

木村さんの「本来の魅力」をよくわかっています。

 

しかし新規事業プロジェクトリーダーの木村さんは

その魅力を出さないどころか、

「生ぬるい」

のです。

 

本来素晴らしいものを持っているのに

それを出さない木村さんに対して、

弓江さんは怒っているのです。

 

それは、「真本音の怒り」と言ってよいでしょう。

 

私が弓江さんのことを「面白い」と直観したのは

大当たりでした。

弓江さんという存在は、木村さんの真本音度合いを

高めるための力強いサポートとなるでしょう。

 

「そんな木村さんに、本来の彼の魅力や力を

発揮してもらうために、弓江さんには何ができますか?」

 

「う〜ん・・・。

私は私なりに言いたくもない意見を伝えていますが、

それが機能しているようには思えません。

むしろ木村を萎縮させているというか。

木村の行動を妨害してしまっているというか。

あまりよい結果は出ていないように思います。

でも、どうしたらよいか、自分にできることが他には

思いつきません。」

 

やはり。

弓江さんは弓江さんなりに、

木村さんの力になろうと思って、あえてきつい意見を

伝えていたようです。

 

さて、では、

弓江さんにも単刀直入な切り込み方をしましょう。

こういった、真本音度合いが高く、想いも強い人には

単刀直入なのがよいです。

 

「弓江さんは、ご自分の魅力や能力を

まったくもって理解してませんねぇ。」

 

「えっ、そうなんですか。

私に能力なんてありますか?」

 

少し余談ですが、

真本音度合いのもともと高い人ほど、

「私に能力なんてありますか?」という類のことを

言う人が多いです。

自分を低く見ているのですね。もったいない。

 

「ありますよ、もちろん。

何だと思います?」

 

「えぇ〜、わかりませんよ。

自分に特別な力があるなんて思いもしません。」

 

「そう言わずに、ちょっと真剣に

考えてみてください。

弓江さんの、天性の力は何だと思いますか?」

 

弓江さんはしばらくじーっと考えてくださいました。

 

「・・・ダメです。わかりません。

私に天性の力なんてあるんですか?」

 

「はい。

でも、弓江さんはそれをこれまでの人生でほぼ、

使ってこなかったと思います。

でもこれからは、それを使うといいですよ。」

 

「ダメです。ギブアップです。わかりません。」

 

「コーチング力です。」

 

「へっ?」

 

「弓江さんは、プロのコーチになれますよ。

それだけの力があります。

私が保証します。」

 

つづく

 

愛というエネルギーを止めることはない

人と人は

わかり合えないものでしょうか?

 

そう問われた時、私はいつも

「そうです。わかり合えません」

と答えることにしています。

 

「この人とわかり合えたな」

と思ったとしたら、

それは「傲慢」の始まりかも知れません。

 

「自己満足」の始まりかも知れません。

 

人と人は、そんなに簡単には

わかり合えない。

だからこそ、

真摯に向き合おうとする。

だからこそ、

真剣に理解しようとする。

 

その姿勢こそが大切で、

その姿勢を取り続けているうちは、

「お互いにわかり合おう」

という関わり方ができます。

 

それが、阿吽の呼吸を生み出したり、

共振・共鳴を生み出します。

 

「わかり合おう」という姿勢は

実在レベルでは

「一つになろう」というエネルギーを

生み出します。

 

「一つになろう」というエネルギーのことを

『愛』

と言います。

 

愛とは、行動そのものではなく、

エネルギーです。

 

木村さんは、

真本音状態でいるときは、そのエネルギーが

非常に高いです。

しかし、

反応本音のクセが前面に出てしまうと、

途端にそのエネルギーが枯渇します。

 

それが非常にわかりやすく、

周りの人達との関係性に現れます。

 

これは木村さんだけに言えることではなく、

すべての人に言えます。

 

愛のエネルギーの高い人は

あらゆる物事がスムーズに進展します。

すべてが調和します。

 

愛のエネルギーの低い人は

あらゆる障害が周りから襲ってきます。

その結果、その人は上手くいかない原因を

周りのせい

にします。

 

違うのです。

 

すべては、自分の発するものの影響です。

 

良いものを発すれば

良いものが返ってくる。

 

良くないものを発すれば、

良くないものが返ってくる。

 

それは、あまりにもシンプルな

物事の原理です。

 

木村さんは、

新規事業プロジェクトリーダーを辞めたい

と言いました。

(→前回記事)

 

が、もちろんそれは本気ではありません。

ひょっとして半分は本気だったかも知れませんが、

半分は愚痴を言っただけです。

 

コーチングの場であえて愚痴を言い、

反応本音を出し切ることで、

真本音の判断をしよう、という意思も

あったようです。

 

一通り木村さんの話が終わり、

木村さんの気持ちが落ち着いたところで

私は彼に訊きました。

 

「木村さん、ここは自力で突破しますか?

それとも、私が何か側面からサポート

した方がよいですか?」

 

彼はしばらく考えましたが、

「プロジェクトも佳境に入っています。

今の流れを止めるわけには行きません。

本当は自力で何とかしたい気持ちもありますが、

ここは一つ、サポートをいただけませんか」

と返しました。

 

私はそれを「逃げ」ではなく

彼の「真本音の判断」であると認識しました。

 

私は念のために、平井さんにこの件を

お話ししました。

状況をお伝えした後で、

「木村さんの側面サポートをするために、

弓江さんと面談をしようと思いますが、

いかがですか?」

と。

 

平井さんは言われました。

「実は、たけうちさんに弓江のコーチングも

お願いしようと思っていたところです。

良い機会なので、ぜひお願いします。」

 

そこで私は弓江さんと

最初の面談をすることになりました。

 

もちろん私は弓江さんのことは

存じ上げていたのですが、

1対1でしっかりと向き合うのは

初めてでした。

 

向き合った瞬間に、

あぁこの人は、とても面白い人だ、

と直観しました。

 

まず、真本音度合いが普通の人よりも

明らかに高い。

しかし、その自分の特性を

まったく活かしきれていない。

 

そう思ったのです。

 

こういった人には、

通常のコーチングとはまったく違ったアプローチの

問いを投げると面白くなります。

 

私は内心、ワクワクしながら

弓江さんに問いました。

 

「弓江さん、

木村さんのこと、嫌いですか?」

 

「はい、嫌いです」

と、まっすぐに返ってきました。

 

思わず私は笑い出しそうになりました。

 

つづく

 

たった一言によって、人の人生は変わるのかもしれない

コーチングをしていますと、

コーチとしての次の自分の一言が

今後の展開を大きく左右するだろう、という

「分岐点」を

強く実感する瞬間が訪れます。

 

それはかなり明確にわかります。

 

クライアントさん(の真本音)は、その一言を

全身全霊をもって待ち望んでいます。

 

どれだけ心を閉ざしている人であっても、

その時その瞬間は、ほんの一瞬だとしても

コーチである私に、100%のオープンマインド状態と

なります。

たとえ0.1秒だとしても。

 

その「分岐点」をつかめるようになることこそ、

プロのコーチとして必須の力であると

私は思っています。

 

木村さんへのコーチングにおいて、

その瞬間が来ました。

(→前回記事)

 

私は自然に浮かんだ一言を

彼に伝えました。

 

「木村さんは、コーチに向いていますか?」

 

その瞬間に、何の迷いもなく

彼からの返答がありました。

 

「向いていません。」

 

・・・と咄嗟に答えてから、

彼自身が、自分の言葉に驚いていました。

 

そして、しばらく茫然とした後に頭を抱えて、

「・・・向いてないのか、オレは」

と呟きました。

 

私は何も言わずに、

ただ黙って彼を見守ることにしました。

 

彼は心の中でいろいろと

自問自答をしていたようです。

 

実際にどのような自問自答をしていたのかは

私にはわかりません。

ただ、

彼の『実在』の変化ははっきりと

わかりました。

 

彼を覆っていた黒い雲から漏れていた

一点の光が、どんどん大きくなっていました。

 

雲が晴れ始めていたのです。

 

そうなるともう、

容易に「真本音コミュニケーション」ができるように

なります。

 

頃合いを見計らって、

私は彼に問いました。

 

「木村さん、いかがですか?

咄嗟にご自分のことを、コーチに向いていないと

言われましたが、

そう言われた理由はわかりますか?」

 

「いや、私には想いがないからです。

私は、プロのコーチとしてやっていこうという

気持ちがありません。

ずっとその気持ちは真本音だと思って来ましたが、

今、それが反応本音だとはっきりわかりました。」

 

「それでも木村さんは100人コーチングを目指して

2週間はコーチングをされましたね。

その2週間のコーチングでのご自分を振り返ると

今はどう感じますか?」

 

「・・・正直言って、全く心が込められていませんでした。

・・・心というよりも、魂が込められてないというか。

100人コーチングをやらなきゃ、という気持ちばかり。

・・・いえ、それよりも、

必ず100人を短期間でやり遂げて、たけうちさんを

ギャフンと言わせよう。

そんなことばかりを考えていたように思います。」

 

彼は正直です。

こういうところが、私は大好きです。

 

「この2週間で、コーチングをした方々の真本音を

感じ取ることはできましたか?」

 

「いえ、今振り返ると、真本音とか反応本音とか、

そんなことはお構いなしでした。

もちろんコーチングをしている時は、真本音を大事に

とは思っていました。

しかし、私はコーチングをこなすこと、

・・・いや、正確に言えば、

俺は素晴らしいコーチングができるんだ!と喜ぶために

コーチングしてました。

相手のことは眼中になかったです。」

 

「木村さんは正直ですねぇ。

でも、ちょっと自分を責め過ぎですね。

そこまでひどいものではなかったと思いますよ。

その時その瞬間は、懸命に向き合って来たのでしょ?」

 

「はい、自分なりにはやって来たつもりでした。」

 

「でも、それは真本音ではなかったと?」

 

「そうです。

私は私のためだけに、コーチングをして来たような、

そんな印象が今振り返るとあります。」

 

それから少し間を置いて、

木村さんは私に問いました。

 

「たけうちさん、

私は本当にコーチに向いていないのですか?」

 

私は即座に、はっきりと答えました。

 

「はい、向いていません。」

 

つづく

 

素直な想いは、たった一つだけだったりする

決めたことを実行できない。

 

・・・そんなケースは、どこにでもあります。

 

決めたことを実行できない理由は

二つです。

 

一つは、

決めたつもりになっていたが、

本当は決めていなかった、

という理由。

 

つまりは、

真本音で決めたのではなく、

反応本音でのみ決めた、ということです。

反応本音での決断は、

その後、必ず葛藤や迷いが生じます。

 

もう一つは、

真本音では決めることはできたが、

それを阻害する強烈な反応本音パターン(クセ)があり、

そのクセに負けてしまう

という理由。

 

この場合は、そのクセを特定して、

クセを意識することで、乗り越えることができます。

 

今回の木村さんのケースは、

この二つの理由が複合しています。

 

決断そのものも反応本音レベルですし、

その上に、彼の強烈なクセが

表面化していました。

 

逆に言えば、

これを機にしっかりと自分と向き合うことができれば、

木村さん自身に大きな気づきと変化を

生じさせることができるチャンスです。

 

これは私の解釈ではなく、

これこそが木村さん自身の真本音の意図

でした。

 

私は彼のその意図に

委ねました。

 

その結果、彼に投げた問いが、

「木村さんは、

どんな人のコーチングをされたいのですか?」

でした。

(→前回記事)

 

木村さんはしばらく

考え続けました。

 

そして言いました。

 

「私はリーダーを応援したいです。」

 

「リーダー?」

 

「はい。

組織やチームを引っ張っていくリーダーです。

私のような人間です。」

 

「組織を引っ張るということは、

経営者も含まれますか?」

 

「はい。経営者も含め、リーダーという役割を

担っている人のコーチングをしたいです。」

 

「そう思う理由はわかります?」

 

「はい。

やはり、すべてはリーダーで決まると思うのです。

ところが、リーダーが自分の解釈だけで、

自分の度量の範囲でメンバーを引っ張ろうとすると、

チームが小さくまとまってしまいます。

私は今回のプロジェクトチームで、

チームコーチングの手法を使うことで、

メンバー一人一人がとても活き活きとして、

リーダーである私の範疇を超えるチームになっていく、

という経験ができました。

その素晴らしさを伝えたいのです。」

 

以前の記事でも書きましたが、

木村さんが言っていることそのものは

素晴らしいことだと思います。

しかしこれが彼の反応本音レベルの想いである以上、

やはりこちらの胸には響きません。

 

言葉のみが、

上滑りをしている感覚です。

 

「たけうちさん、

ここも、私に寄り添ってください。」

・・・と、木村さんの真本音からのメッセージが

私の心の中に浮かび上がってきました。

 

私はその声に委ねます。

 

「では、そういったコーチングができるようになるために、

今の木村さんにはどんな体験・経験が必要ですか?」

 

「うーん、

やはり、たくさんのリーダーである方々とお会いして

コーチングさせていただくことでしょうか。」

 

「具体的に、この人をコーチングしたい!

という人はいますか?

有名人でも結構です。」

 

「それを言ったら、平井です。」

 

「えっ? 平井さん?」

 

「はい。」

 

「理由はわかります?」

 

「・・・そうですねぇ。

やっぱり私は平井を尊敬してます。

尊敬するリーダーに、私はさらに伸び伸びと

してほしいです。」

 

なんとここで、木村さんの真本音が出ました。

この一言を聴いたとき、

私の体の芯がゾワゾワを痺れました。

真本音からの言葉を聴いた瞬間のいつもの感覚です。

 

「今のそのお気持ち、凄く強いですねぇ。」

 

「そうですね。自分でも言いながら

強い気持ちだな、と思いました。」

 

「では、平井さんのコーチングをしてみては

いかがですか?」

 

「いやいやいや、そんな滅相もない。」

 

「でも、平井さんを応援したいんでしょ?」

 

「いや、そうですけど。

今の私が平井のコーチングなどできませんよ。」

 

「どうして?」

 

「だって、全然レベルが違うじゃないですか。

平井だって、わざわざ私のコーチングなど

受けたいと思わないと思いますよ。」

 

「でも、コーチングするなら平井さんが

いいんでしょ?」

 

「はい。でも、それは理想です。

今の私には無理です。」

 

「そうなんですか。

じゃあどうしたいですか?」

 

「平井以外の人をコーチングします。

で、経験を積んだら、平井をコーチングします。」

 

「じゃあ、平井さん以外で、

この人コーチングしたいなぁ、と思う人はいます?」

 

ここで木村さんは止まりました。

 

しばらくじーっと考えていましたが、ポツリと

呟きました。

 

「・・・いないです。」

 

「いない?」

 

「はい、平井以外にいないです。」

 

私は彼の目を見据えました。

次の一言が、非常に重要だとわかったからです。

 

つづく

 

失敗と怠慢は、根本的に違います

私のクライアントさんは、比較的

不器用な人が多いです。

 

不器用というのは、私は「魅力」だと

思っています。

 

不器用な人は、

よく壁にぶつかります。

 

何度も間違いをします。

 

まっすぐに進めばよいものを、

本人はまっすぐなつもりでも、右に傾いてしまったり、

左に傾いてしまったり。

 

その都度、

ガツンガツンと、壁や障害にぶち当たります。

上手にかわせばよいものを、

まともにぶち当たり、ダメージを受けます。

 

時には、壁にぶち当たるよりも前に

勝手につまずいて転んでしまうことさえあります。

 

それでも、前に進もうとします。

 

上手く物事を進めよう、とか、

壁をいかに避けながら進もうか、とか、

転ばないようにソロリソロリと進もう、とか。

そういった

「失敗することが嫌」、「失敗することを恐れる」

という人は、どちらかと言うと

私を避ける傾向にあります。

 

私は、失敗こそが財産である、と思っています。

 

ただしその失敗は、

「本当の失敗」であることが重要です。

 

本当の失敗とは、

「これが私の真本音だ!」と自分で信じて、

その通りに、その時出せるすべての力を使って

突き進む中での「失敗」です。

 

そういった「失敗」は、その時その瞬間は

「失敗」かも知れませんが、

後から長い目で見れば、

それは、「必要なステップ」であり、

「自分の望む成果を生み出すための大切な試行錯誤」であり、

「自分の進化のためになくてはならないプロセス」です。

 

失敗を恐れて、ソロリソロリと進んでも

何も得るものはありません。

 

ソロリソロリと進むことで結果を出すことができず、

「失敗しました」と言う人がいますが、

それは「失敗」ではなく、単なる「怠慢」です。

 

正しくても間違っていてもお構いなしに、

真本音だと信じた方向に進んでみる。

・・・そういった人を私はサポートしたいですし、

そういった人こそが、

「真本音で生きる」

ということを、理屈ではなく、体得します。

 

木村さんには確かに様々な反応本音のパターンが

ありました。

でも彼の素晴らしいところは、

何度失敗しても、自分の信じた通りに進もうと

したところです。

 

何度失敗しても、

「たけうちさん、これが私の真本音だと思うのです」

と堂々と私に語り、それを行動に移したことです。

 

その「真剣さ」に私は何度も

心を打たれました。

 

そして思いました。

「とことん、この人をサポートさせていただこう」

と。

 

ですから、

「プロのコーチになりたい」と

木村さんが言われた時、

それがたとえ反応本音レベルの想いだとわかっていても、

後で、その想い自体を「否定」することになるだろうと

わかっていても、

それでも私は本気で木村さんに伝えました。

 

「木村さんがプロのコーチになるために、

私は、どんなサポートをさせていただければよろしいですか?」

(→前回記事)

 

その瞬間、私は本気でそうしようと思って

言ったのです。

 

その迫力が恐らく、

木村さんに伝わったのでしょう。

彼は、しばらく

うろたえました。

 

しかし気持ちを整え直し、

私にこう言いました。

 

「プロのコーチになるために、

私はまずは何をすればよいでしょうか?」

 

私は即座に答えました。

 

「まずは、100人にコーチングをしてください。」

 

これは、私の主催するプロコーチ養成のための

講座の受講生さんに、いつもお伝えしていることです。

 

とにかく、まずは100人をコーチングする。

それができて初めて、

プロへのスタートラインに立てる、と。

 

「木村さん、お忙しいとは思いますが、

まずは、平日のお仕事が終わってから毎日二人ずつ、

そして土日に一日6人ずつ。

つまり、一週間に22名のコーチングを行なってください。

すると、5週間で100人できると思います。

まずはここからですね。」

 

つづく

 

まったく胸に響かない想いに、どう対処する?

それは、新規事業プロジェクトが動き出し、

計画の実行段階に入った頃のことでした。

 

木村さんが突然、私に

「たけうちさん、私はプロのコーチになろうかと

思います」

と言われました。

(→前回記事)

 

私は内心、

うわぁ、そう来たかぁ、

と思いました。

 

もちろんそれは、

反応本音レベルの彼の発想です。

ですから私には、

ただの言葉遊び、言葉の上滑り、

としか感じ取れませんでした。

 

通常の私のコーチングの場合、

反応本音レベルの発想がクライアントさんから出たとしても、

特にそれに対して、こちらが「反応」することはありません。

かと言って、無視もしません。

ただ普通にその発想を受け取るだけで、

肯定も否定もしません。

 

すると、コーチングセッション中は、

普段よりも真本音度合いが高まっていますから、

そのクライアントさんの反応本音レベルの発想は

自然に、消えていきます。

途中から、どうでもよくなってくるのです。

 

そして、真本音レベルの発想に

移っていきます。

 

私はそこには何の操作もしません。

 

しかし時折、クライアントさんが

自分の発想は真本音からの発想である、と

思い込む場合があります。

 

つまりそれは、自分自身の

真本音と反応本音の区別がついていない

という状態です。

 

しかし私から見れば、

明らかに反応本音レベルの発想です。

 

そういった場合は、

そこに、かなり強烈な「反応本音のパターン」が

存在していることになります。

クライアントさんからして見れば、

自分の真本音であると思い込むくらいに強い

反応本音のパターンが

そこにある、ということです。

 

その場合は、ある意味、チャンスです。

強烈な反応本音のパターンを浮き彫りにし、

それを自ら「壊す」ことにつながるからです。

それができれば、

そのクライアントさんは、より真本音度合いを高めることが

できます。

 

木村さんの中には、

強烈な反応本音のパターンが、たくさんありました。

 

特に顕著だったのが、

自信家になった時の彼の「イケイケ」のパターン。

もう一つが、

自信を喪失した時の彼の「ウジウジ」のパターン。

 

この時は、

その「イケイケ」のパターンが出たのでした。

 

ただしそれが出たとしても、

私は基本的には、すぐに否定することはしません。

 

私は木村さんに、プロコーチになろうと思った

その理由を訊きました。

 

想像通りの答えが返って来ました。

 

「今回、私は新規事業プロジェクトをさせていただいて

強く思ったんです。

プロジェクトメンバーを主役にしたチーム創りというのが

いかに素晴らしいか、ということをです。」

 

ちなみに、

「メンバーを主役にする」

「社員を主役にする」

というのは、木村さんの尊敬する上司である平井さんの

理念の一つです。

 

「それに、たけうちさんからチームコーチングのやり方を

教わって、それをやってみて、

これは本当に素晴らしいな、と思ったんです。」

 

「どこが素晴らしいと思われたんですか?」

 

「何と言いますか、

これまでの私は自分の枠に人をはめる、ということばかりを

して来たと思います。

しかし、人を尊重して、人の発想を促して、それらを形にする、

という方が、自分の想像を超えた展開を生み出す、

ということが、身をもってわかったんです。

これこそが、本当のリーダーシップではないかと思いました。」

 

言っている言葉の一つ一つは一見、素晴らしいですし、

彼の感情も想いもそこには込められていました。

 

しかし、

まったくこちらには響いて来ません。

 

それは、反応本音レベルだからです。

 

しかし残念ながら、このレベルの想いに基づいて

動いてしまっている「人」や「組織」がいかに多いことか。

 

真本音と反応本音の区別をつけないことが

いかにその後の展開に大きな違いを生み出すか?

ということを、こういった場面で私はいつも

実感します。

 

木村さんはさらに続けました。

 

「それに私は気づいたんです。

私が伸ばすべき強みは、コーチング力ではないかと。

チームコーチングの手法を使いながら、

私は、コーチとしての自分、がいかに楽しいか、を知りました。

しかも、楽しいだけでなく、みんなが実際に発想を広げ、

主体的になり、新規事業も一気に軌道に乗ろうとしています。

私は、こういった素晴らしい展開を、自社だけでなく

他社でも起こしたい。

プロのコーチとして、いろんな企業でチームコーチングをしたい、

と思ったんです。

これって、私のビジョンではないか?と。

真本音の願いではないか?と思ったんです。」

 

私はこの時、

少し心の中で迷いました。

 

かなり、かなり、短絡的な表現で書きますと、

次の二つの選択肢による迷いでした。

 

一つは、

今この場で、きちんと「否定」するか?

もう一つは、

「少し、泳がせてみる」か?

です。

 

前者の場合、

「木村さん、残念ですが今の木村さんの言葉は、

まったく私には響いて来ませんよ。

つまりそれは反応本音レベルの発想です」

と、そのままお伝えします。

 

恐らくそれをすれば木村さんは、

すぐに自分が反応本音だったということに気づき、

恐縮するでしょう。

反省するでしょう。

 

しかし、それを今の木村さんは本当に望んでいるでしょうか?

 

私は心の中で、木村さんの真本音に向かって

語りかけました。

 

「木村さん、今、私にどうしてほしい?」

 

言葉には出していません。

心の中で、彼の真本音に向かってそう問うたのです。

 

すぐに「返答」がありました。

 

「ここは私が自分のパターンを壊すために

とても重要なチャンスです。

今すぐの否定はやめてください。

最も、良いタイミングでの否定を私は望みます」

と。

 

言葉で表現すると、

このような返答がありました。

 

と言っても、実際に木村さんがそう言われたわけでは

ありません。

 

私の心の中からその返答が

「浮かび上がって来た」のです。

 

しかしそれは、私の「イメージ」でも「解釈」でも

ありません。

 

木村さんの真本音の意思を

私はダイレクトにキャッチしただけのことです。

 

これも「真本音コミュニケーション」の一つです。

 

そしてこれも、

私にだけできる特別な能力ではなく、

本来、私達人間すべてに備わっている

コミュニケーション能力の一つです。

 

私は心の中で、

「わかりました。

では、あなたの言う通りにしますね」と

お伝えし、その上で現実の木村さんにお伝えしました。

 

「木村さん、わかりました。

では、木村さんがプロのコーチになるために、

私は、どんなサポートをさせていただければよろしいですか?」

 

つづく

 

あなたは進んでいますか? 止まっていますか?

進む人は心地がいい。

 

私はいつもそう感じます。

 

どれだけ未熟であってもいい。

どれだけ能力がなくてもいい。

どれだけ弱くてもいい。

どれだけバランスが悪くてもいい。

どれだけ尖っていても、どれだけ凹んでいても、

どんな状態でもいいのです。

 

どのような人でもあっても

進む意志さえあれば、

私は、その人と向き合いたい。

 

その人と共に進みたい。

 

そう思います。

 

「進む」とは、「進化」ということです。

 

私はあえて、「進化」と「成長」という二つの言葉を

区別しています。

「成長」という言葉には、様々な意味が

含まれてしまうからです。

 

例えば企業で言えば、

売上や利益や事業規模が年々増加していくことが

「成長」と表現されますが、

私は、その中身をいつも大切にしています。

 

そこに「進化」はあるのだろうか?と。

 

どれだけ事業規模が大きくなっても

そこに「進化」がなければ、私はただの

「膨張」

であると思っています。

 

個人であれば、

どれだけその人の能力が高まったとしても、

そこに「進化」がなれば、ただの「能力の膨張」に

過ぎません。

 

「膨張」することを私は

「進化」だとは思いませんし、

それを「進んでいること」だとも思いません。

 

むしろ「膨張」だけで満足している人を私は

「止まっている人」と見ます。

「止まっている組織」と見ます。

 

「進化」とは、

次元を上げていくことを言います。

 

次元については、改めて詳細に書かせていただくことに

なると思いますが、

次元を上げるために最も直接的な影響を持つのが

「真本音度合いを上げる」ことです。

 

つまりは、

自らの真本音を大切に生きる

ことは、「進化」への最短の道です。

 

私は、

能力を高めるだけのコーチングはしません。

「進化」を拒絶している人のサポートは

しません。

そう決めて、これまでやってまいりました。

 

何のために、「進化」するのだろうか?

「進化」の先に何があるのだろうか?

 

そんな疑問も浮かんだことがありました。

 

もちろん「進化の先」はあります。

そこで手に入れられる「現実」はあります。

 

しかしそれよりも、

「進化」とは、それ自体が「目的」なのです。

 

つまり、私達人間は

「進化を目的として生きている存在」なのです。

 

「進化そのものに喜びを感じる存在」

それが、人間です。

 

人間としての自然な姿は

「進化すること」です。

 

その自然な目的に素直になっている人は

一緒にいて、とても癒されます。

一緒にいて、心地よいのです。

 

進む人は心地がいい。

 

・・・それは、私だけでなく、すべて人が心の根底で

本能的に感じることです。

人は、そういう人と「共に進みたい」と思います。

 

進化への欲求。

進化という本能。

 

そういった、私達すべての人間が持ち合わせている

大切なものに、

素直に、敏感に、そして大胆に

立ち向かっていく人を増やす。

 

それが、私がコーチをさせていただいている

重要な目的(願い)の一つです。

 

コーチングをしていれば、もちろん

クライアントさんが、立ち止まってしまうことはあります。

 

挫折もあります。

 

立ち直れなくなることもあります。

 

それでも「進もう」という根本的な意志を

その人が持ち続けているうちは、

何とでもなりますし、

とことんまでサポートすることは可能です。

 

「私は、私がこんなにもダメダメな人間だとは

思ってもいませんでした。

こんな私でも、何とかなるのでしょうか?」

 

コーチングをしていますと、

そんな問いを受けることがあります。

 

これまでフタをしていた自分と向き合ったり、

進化しようと思っても、どうしてもその行動が取れなかったり、

いろんな場面で、その言葉を聴いてきました。

 

木村さんもその一人でした。

(→前回記事)

 

実は、木村さんは平井さん以上に大変な

クライアントさんでした。

 

自分の真本音を意識して行動を変えようとしても

どうしても、自分の許容量を超える現実が来ると、

以前の「心と行動のクセ」が出てしまいます。

 

その「クセ」を直したとしても、

さらに別の「クセ」が顔を出す。

 

その繰り返しをしました。

 

そしてついにある時に、

「たけうちさん、

せっかくずっとコーチングしていただいているのに、

自分はずっとダメな自分が出てしまいます。

本当に申し訳ない。

私がこんなにダメダメ人間だとは思いませんでした。

私はこのようにコーチングを受けるだけの価値が

あるのでしょうか?」

と言われたのです。

 

私は逆に問いました。

 

「木村さんは、進化したいですか?」

 

即座に答えが返ってきました。

 

「したいです。」

 

「木村さんは、どんな時も自分の本当の願いを大事にした

行動の取れる木村さんになりたいですか?」

 

「なりたいです。」

 

「でしょ?

その木村さんの想いは、ずっと伝わってきていますよ。

それがあるうちは、大丈夫です。

今は、心の中に余分なものがいっぱいあり、

それが木村さんの生き方を阻害していますが、

木村さんのその想いがあれば、

それらを一つ一つ乗り越えていけますから。」

 

木村さんは、気づいていないのです。

どれだけ自分が変わったか、ということを。

 

どれだけ彼を見る周りの目線が

変わってきているか、ということを。

 

あえてそこには触れず、

私はただ、木村さんに、ある一つの「現実」が

訪れるのを待ちました。

 

そしてそれは、必然的に訪れたのです。

 

つづく

 

理念が明確になっても、それだけでは足らないのです

生きる、ということに対して、

人が幸せを感じるか、感じないか?

それを左右する最もシンプルな「境目」は、

 

「自分の望む生き方(在り方)ができているかどうか?」

 

です。

 

それは、あるべき論ではありません。

つまり、私はこうあるべき、こう生きるべき、

ということではありません。

 

自分は本当は、どんな生き方(在り方)をしたいか?

そこに素直であること。

「今、この瞬間」に素直であること。

 

まずは、それに尽きます。

 

どれだけ実績を上げても、

どれだけ経験を積んでも、

自分が本来望む生き方(在り方)ができていない人は

間違いなく疲弊していきます。

 

するとその人は、

「疲弊することで実績を上げられるのだ」

と勘違いします。

 

「実績とは、疲弊しなければ上がらないものだ」

と勘違いするのです。

 

それは苦しみの人生です。

 

そういった苦しみの人生ではなく、

人はある意味、もっと「楽な人生」を

生きることができます。

 

「楽な人生」にするために最も基本的な必要条件が

「自分が望む生き方(在り方)」を実践することなのです。

 

しかも、その生き方(在り方)が

真本音で望むものであるならば、

それは、周りとの「調和」を高めます。

 

自分の望む生き方(在り方)ができればできるほど、

周りにもより良い影響を与えます。

 

ですから、

自分の幸せ=周りの幸せ

となります。

 

ですから、

現実が開かれます。

 

真本音で望む生き方(在り方)のことを私は、

『人生理念』

と呼んでいます。

 

ビジネスでも、それ以外のコーチングでも、

組織(チーム)コーチングにおいても、

あらゆるサポートにおいて、私はまずは必ず、

その人の『人生理念』を掘り起こすことを第一歩としています。

 

それをするのとしないのとでは、

その後の物事の進展の仕方の次元が変わるからです。

 

サポートそのものも非常に楽になります。

 

木村さんは、

“生まれたばかりの無邪気”

という人生理念を掘り起こすことができました。

 

その理念を日々、大事にすることで、

明らかに雰囲気と行動に変化が起こり始めました。

 

それを上司である平井さんは

非常に喜ばれました。

(→前回記事)

 

しかし本当のサポートはここからです。

 

私達の「心と行動」には、

これまでの経験で培ったパターンがあります。

 

それは、「心と行動のクセ」と

言ってもよいでしょう。

 

「クセ」とは、

私達人間の持つ大いなる力の一つです。

 

もし「クセ」というものがなければ、

私達は、生きることが非常に困難になります。

例えば、

「クセ」があるからこそ、

私達は、お箸を使うことができるようになります。

自転車に乗ることもできるようになります。

パソコンを使うことも、新たな能力を身につけることも

できるようになります。

すべては「クセ付け」と言ってもよいでしょう。

 

私達が自分の経験を通じて能力向上を図る時に

最も必要となる力が「クセ」ということです。

 

ですので「クセ」は

それだけ強いのです。

 

「心と行動のクセ」は

自分にとってメリットが高いからこそ、

身についたものです。

 

一度身についた「クセ」は

そんなに簡単には壊れません。

 

もし壊そうとするのであれば、

何度も何度も、その「クセ」が出るのを自ら

止めなれければなりません。

 

「クセ」を止めて、その上で「新たなパターン」で行動する、

ということを意図的に行なう必要があります。

 

お箸の持ち方が間違っていた場合に、

正しい持ち方に直すためには、

何度も何度も意図的に、お箸の持ち方を変えなければならない、

というのと同じです。

 

しかし何度も意図的に行なううちに、

いつの間にか自然に意図せずに

正しい持ち方ができるようになります。

 

大切なのは、何度も何度もそれをし続けること。

継続することです。

 

それはある意味、

「新たなクセをつける」

ということになりますが、

その「新たなクセ」が

「真本音で望むクセ」であることが大切です。

 

「真本音で望むクセ」がつけば、

その人自身が幸せを感じ、

しかも、周りにも好影響と調和をもたらすからです。

 

結局、私が行なっているサポートは

ここに尽きるかな、と思う時があります。

 

真本音で望んでいないクセを持っている人が

真本音で望んでいるクセに変えていく。

それをサポートするのが

私のコーチング、と言えるのかなと。

 

それ以上のことは

私はしていないのかも知れません。

なぜなら、

真本音で望むクセがつけば、

あとはもうその人の自力で、

望む現実をその人自身が創り出していくからです。

 

そういった意味で、

私が木村さんに対して注意して見ていたのは、

木村さんの「これまでのクセ」が

どのような形で「再発」するか?

ということでした。

 

人生理念を明確にすることで、

木村さんの雰囲気も行動も変化を始めました。

しかしまだ、彼の「これまでのクセ」は

残っているはずです。

 

それがどのように現れ、

どのように影響するのか?

それを見つめ、

彼が本当に真本音から望むクセをつけるための

有効なサポートをすること。

それが私の次の役割でした。

 

そして案の定、

彼のクセは、現れたのです。

 

つづく